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スポーツを極めた人たち

『マラソンの神髄 世界をつかんだ男の「走りの哲学」』瀬古利彦著 ベースボールマガジン社刊 1600円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2007年4月20日(金)

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『マラソンの神髄 世界をつかんだ男の「走りの哲学」』瀬古利彦著

『マラソンの神髄 世界をつかんだ男の「走りの哲学」』瀬古利彦著

 日本の男子マラソンはぱっとしない。女子がオリンピックで2回連続で金メダルを獲得したのと比べると、日本男子のマラソン選手は最後まで競る力さえない。一体どうしたことなのだろう。瀬古利彦は慨嘆する。

 著者の瀬古は、今まで彼のマラソントレーニングのメニューを企業秘密として公開していなかった。しかし、日本男子のマラソンのあまりの不甲斐なさに、思い切って瀬古自身のトレーニング法を公開したのが本書。

 瀬古はオリンピックに関して“ついて”いなかった。彼自身の最盛期を、モスクワ大会のボイコットで逃した。確かに、モスクワ大会が予定通り行われていれば、瀬古の金メダルは間違いなかったし、国民もそれを期待していた。しかし、瀬古はロサンゼルス・オリンピックで大方の予想を裏切って惨敗した。なぜか?

 瀬古はモスコワ・オリンピックがボイコットされたため、世界一流であることを示そうと、福岡国際マラソンとボストン・マラソンに的を絞った。そして、両方の大会で優勝し、世界一であることを実証した。

 マラソンには半年の準備期間が必要だ。6カ月。初めの3カ月はマラソン練習のための準備期間。後の3カ月はマラソンを走るための、本格的マラソン練習期間となる。

 こうして期間を決めると、いつの間にかマラソンに最適なリズムが生まれる。このリズムを利用すると、12月の福岡マラソンに出場した後、4月のボストン・マラソンにうまく調子を合わせたまま出場できる。

 瀬古は両大会に優勝することで、このリズムを利用したトレーニング法を実証して見せた。冬の前後に2度マラソンを走るというリズムが確立したとき、ロサンゼルス・オリンピックが8月に行われた。その結果、マラソントレーニングのリズムが崩れ、ロスの惨敗となった。

 本書の最後に、瀬古の実際のトレーニング量が示されている。1日に走ったキロ数を月ごとに集計する。1000キロメートルに達する月がある。マラソンランナーは誰でも、その程度は走っているに違いない。

 そして、瀬古と日本の今のマラソンランナーに何かの違いがあるとすれば、その違いの解明こそが、日本男子のマラソンの飛躍につながるに違いない、と瀬古が考えたからこそ、このトレーニングの実態の公表に踏み切ったのだろう。

 本書は、このあけすけなデータ公表から何かを読みとってほしいという、瀬古の日本男子マラソンランナーへの強い気持ちから成立したものだ。

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