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【第2回】 アクシデントから生まれたピリスのピアノソナタ全集

発売当時、国内での評価はひどいものだった(笑)

  • 諸石 幸生

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2007年4月20日(金)

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音楽プロデューサーの川口義晴氏に聞く第2回。今回は、フランス文学を志していた川口氏がどのような経過でクラシックのレコードを作る仕事に就くようになったのかを聞くと同時に、プロデューサーとして何をしたかったのかを語ってもらった。

やはり川口氏のメインテーマは「現代音楽」だが、最初の仕事は今や世界屈指の名ピアニスト、マリア・ジョアオ・ピリスとの録音で、それは意外なきっかけでスタートしたという。


―― 大学は青山学院の仏文学ですね。音楽の勉強をしていないところが面白い。

音楽プロデューサーの川口義晴さん

音楽プロデューサーの川口義晴さん (写真:清水 健)

川口: 音楽は我流ですね。ピアノを弾くのも、和声の勉強も直接先生につくことはなく、自分で本を読んでやりました。

―― 大学時代に音楽活動は?

 最初はオラトリオソサエティ合唱団に入部しましたが、あまりにもキリスト教臭いんで半年でやめたんです。それに音楽はそのくらいにして、自分はフランス文学をやるというテーマがありましたから、フランス文学の方の勉強が中心でした。

―― 仏文で大学院にも進まれています。つまり川口さんは音楽に対しても文学と同じように接してこられたんでしょうね。

 全くそうです。感性としては、僕にとって音楽と文学は同じものなんです。それは文学の知識で音楽を解釈するということでは全くない。音楽は音楽として、文学は文学として受け入れる。しかしずいぶん前に気づいたのは、音楽も文学もその奥には何かとてつもない、説明しようもないものが確実に在る、ということです。例えばモーツァルトのある作品とボードレールの一部はまるで同じものに向かい合っている、と思います。

現代音楽の音楽番組に触発される

―― 大学院を出てすぐにレコード会社に入社された?

 大学院の時にアルバイトをしていたんです、日本ビクター(現・ビクターエンタテインメント)で。井坂紘さん(現・カメラータ会長)というプロデューサーの下でいろんな経験をさせてもらいました。3カ月経つと形式的な採用試験があり、社員になりたければそれを受ければよかった。でもどうも気が進まなくて、結局、しばらくして大学院を終了してから日本フォノグラム(現・ユニバーサルミュージック)に入社したんです。大学院まで行ったんだから非常勤講師をしながらフランス文学をやる方向も考えましたが、どうも学生にアー、ベー、セーって教えるのは性に合わないし、給料だって安い。こりゃまずいと、試験を受けて行ったんです。

 レーベル・マネジャーって言うんですか、フィリップスの新譜の中から日本で出すものを選んで、広告して、国内盤にする、そんな仕事でした。でも続いたのは1年9カ月。というのは日本コロムビア(現・コロムビアミュージックエンタテインメント)から話があって、エラートのレーベル・マネジャーをやらないかと誘われたのです。給料はフォノグラムの方がよかったけど、制作もやらせてくれるんだったらという条件でコロムビアに移ったんです。日本フォノグラムはあくまでもヨーロッパで作ったものを日本で売るための法人で、自分でプロデュースする可能性はまずありませんでした。それじゃ面白くなかった、僕には。どうしてもアルバムを作りたかったですから。

―― 作りたかったアルバムのイメージは?

 具体的に誰の何というのではなく、とにかく現代音楽をやりたかったですね。あとはよく分からないんですよ。僕は専門的に勉強してきたわけではないし……。

―― 昔は、「現代の音楽」なんていうNHKの第2放送の番組もあって刺激される機会が多かったですね。

 そう、上浪渡さんの番組とかね。そこで電子音楽をやったり、秋山邦晴さんが映画音楽で武満徹さんや黛敏郎さんの音楽を紹介したりね。そういうのを喰(く)らいつくように聴いていました。あの経験がなかったら音楽を仕事にしようとは思わなかったでしょうね。

―― でもそんな思いを仕事にしてしまった執念はすごいですね。

 繰り返しますけど、知らなかったからできたんですよ。

 それにしても、入社した日本コロムビアは東欧の音楽にしても、それからPCM(パルス符号変調)録音にしても一生懸命やっていました。今になって分かるのは、会社というのは営利団体だから、そこに働く人にとっては、東欧の演奏家が売れれば、その演奏家は無条件に素晴らしい、演奏内容も含めて。前にも言ったとおり、僕は東欧の演奏家たちに音楽的に興味がなかった。僕に理解できなかったのは、売れるということで、内容についても素晴らしいと思い込んでしまうということです。いつか西ヨーロッパの音楽家と自分の本音の仕事をやるぞ、そんな夢はありましたが。

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