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ヒップホップの文化人類学的考察

「ブラックミュージック」と「万葉集」の距離感とは?

  • 藤田 宏之

バックナンバー

2007年4月23日(月)

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 「ヒップホップ」「ラップ音楽」と聞いて何をイメージされるだろうか?  『ナショナルジオグラフィック日本版4月号』では、若者の心を掴んで離さないブラックミュージックを文化人類学的に斬ったユニークなドキュメンタリーを掲載した。

若者の心をつかむヒップホップの魅力とは

 私の悪夢はこんなふうに始まる--娘が男を連れてきて、「パパ、私たち結婚するの」と言う。男はラッパーだ。口には金歯がずらりと並び、ドゥーラグというヒップホップファッション独特の布を頭に巻いている。

 筋骨隆々の腕に、いかにも悪ぶった態度。やがて2人の間に子どもができて、小さな足でわが家の居間をパタパタと駆け回り、私の人生に入りこんでくる。とはいえ、私も若い時分は、その時代の新しい音楽にどっぷりつかった「思慮分別のない若者」だった。

 だから私は、昔の自分自身を見るような「そいつ」に出会った日を呪い、その名を知ったことを悔やむ。「そいつ」、つまりラップが世界を制したことに戦慄を覚えるからだ。

 メロディーもなければ繊細さなど微塵も感じられない。楽器も使わないし、詩もハーモニーもない。いつ曲が始まって、いつ終わるのかも分からなければ、どんな曲なのかも分からない。音楽とすら思えない音楽--それがラップだ。もう私の知っている世界ではない。ラップの世界だ。でも私はそこで生きている。ヒップホップの世界に暮らしているのだ。




アフリカの伝統的な音楽が奴隷船に乗って米国や他の国に広がると、各地で新たな音楽が生まれた。1970年代に米国ニューヨークで生まれたヒップホップもその1つ。かつてのブルースやジャズのように、世界中で人気を博しているブラックミュージックだ。
アフリカの伝統的な音楽が奴隷船に乗って米国や他の国に広がると、各地で新たな音楽が生まれた。1970年代に米国ニューヨークで生まれたヒップホップもその1つ。かつてのブルースやジャズのように、世界中で人気を博しているブラックミュージックだ。

 「若者文化が大人には理解できない」という事情は、万国共通のようだ。そういえば私自身、ロックバンドを組んでいた高校時代、30歳代の先生にフォークソングの話を熱心にされて、「(先生が)いくら友達ぶっても、懐メロじゃん」と半ば相手にしていなかったことを思い出した。かく言う自分も齢四十を超えた今、中学生になった息子がケータイにダウンロードしている音楽については、やはり理解不能になりつつある。

 ヒップホップを、話すように歌う「スピーチソング」の一種と考えると、そこには長い歴史がある。この音楽は何世紀も前、西アフリカから奴隷船に乗って米国にやってきた。民族音楽の研究者によれば、ヒップホップは西アフリカの語り部グリオによる踊りや太鼓、歌が起源で、言葉と音楽を融合し、アフリカからの長い航海を生き延びた奴隷の苦難を表現したものだという。

 初期の黒人奴隷による輪舞「リングシャウト」や労働歌「フィールドホラー」、黒人霊歌には、誰かの歌い出しに応える「コール・アンド・レスポンス」という手法や即興といったアフリカ音楽に共通する要素が取り入れられている。「スピーチソングは、はるか昔から黒人文化の一部だった」と、シカゴにある黒人音楽研究センターの所長サミュエル・A・フロイドは言う。

 ルイ・アームストロングやジョン・リー・フッカーなどジャズやブルースの大御所の音楽に見られる言葉遊びに、ラップの萌芽を見いだすことはできる。だが、現在のラップの基礎を築いたのは、ビート世代の詩人アミリ・バラカだと言われている。

 1950年代後半から60年代にかけて、バラカは詩を朗読するときに悲鳴や怒号を交えたり、足を踏み鳴らしたり、リズムと詩の文句を微妙にずらしたりした。これは自らの身体で作品を表現するパフォーマンスアートで、ラップグループの元祖とされるラスト・ポエッツに影響を与えた。


 うーん、なるほど。日本人として考えると、近松門左衛門の人情劇や、思い通りにいかない人生への恨みや幸せへの未練を歌い上げる演歌に近いのかもしれない。実はヒップホップにも、そうした魂のルーツが存在した。 リポートの舞台はアフリカ西部の国、セネガルの首都ダカールへと飛ぶ……。

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