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仕事の虫もハッとする『昆虫にとってコンビニとは何か?』

~カメムシ採取人が提出した28のラディカルな問い

  • 和良 コウイチ

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2007年5月16日(水)

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『昆虫にとってコンビニとは何か?』 高橋敬一著、朝日選書、1200円(税抜き)

昆虫にとってコンビニとは何か?』 高橋敬一著、朝日選書、1200円(税抜き)

 昆虫にとってコンビニとは何か? 昆虫にとって車とは何か? 昆虫にとってイナゴの佃煮とは何か? 昆虫にとってファーブルとは何か? 昆虫にとって戦争とは何か? 昆虫にとって人間の性欲とは何か? 昆虫にとって生まれてきた目的は何か?…などのいささか唐突な、けれどもチャーミングな28本の問いがズラリ並べられた1冊である。

 たかが、ムシ談義と侮るなかれ。それぞれの昆虫への生真面目な問いかけは、同時に人間に対する問いかけでもある。つまり、人間は○○○を通して昆虫に何をしてきたのか、人間自身にとって○○○とは何か。ムシの存在を通じて、思いもよらぬ角度から人間社会を照射するのである。

 一般に昆虫の保護に関しては、オオムラサキのような派手な蝶や、ゲンジボタルのような人間のノスタルジーを誘う一部のムシを除いて、環境運動家の関心も薄い。だが、「カメムシ採集人」という肩書き(本来の専門は害虫防除)の著者は、昆虫マニア以外は誰にも顧みられることないムシたちの行く末が気になってならない人間である。

コンビニ出店、ムシにとっては戦争の始まり

 約10万種が存在しているといわれ、現在約3万種が確認されているムシたちの命は、儚い。多くのムシたちは名づけられることもなく、人間に認識されることもなく、この世から消え去っていく。

 「昆虫にとって車とは何か?」の項で示されているように、たとえば車を走らせるだけでも、体の柔らかいムシなら時速(風速)60キロメートルに達すれば潰され、または身体の一部を破壊される。もっといえば、ただ人間が歩くだけでも踏み潰されて息絶えるのが、ムシの運命である。儚い…。

 とはいっても、ムシの「種の存続」にまで影響を及ぼすのは、風圧や踏み潰しなどではなく、車が通る道路、コンビニのような店、住宅地などがつくられることだ。一般に、昆虫の持つニッチ(大雑把に言えば、生域場所)の幅は狭い。その地域の環境変化によっていったん絶えた種は、永遠に取り戻せない可能性がある。そこに生息するムシたちにとっては、実は大規模な住宅地の造成と、爆弾が落とされるような戦争が、等価であったりするのだ。

 儚い運命の彼らに著者は思いを馳せる。だがその文章には、不思議なことに悲しみよりも、どこかおかしみがある。環境運動家の声高な主張とは異なり、落ち着いた筆致の中に諧謔が織り交ぜられているのだ。

 著者の独特な感覚の底流にあるものは、何だろう。

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