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職場に『オニが来た』なら、楽しんじゃえばいい!

~“人間力”のコツが詰まった、へんてこ家族小説

2007年5月30日(水)

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 色目を使ってくる頭痛持ちの舅。何を考えているのだか、とらえどころのない姑。見た感じ引きこもりっぽいサラリーマンの義弟。それに、先代から居ついている、口うるさい家政婦。さらに、近所には独身の義理の姉までいる。

『オニが来た』 大道珠貴著、光文社、1500円(税抜き)

オニが来た』 大道珠貴著、光文社、1500円(税抜き)

 そんな夫の実家で、俺がいない間、羽を伸ばしていてくれと言われたら、だれだって、ぷちぷち、プッツンしてしまうのがフツーだろう。

 おまけに、老人たちはもうろくしかかっていて、要は介護を押しつけられたようなもの。肝心の夫は、「いっとき、自由に生活したいんだ」と、ある日突然、会社を辞め「ダイエット村」とかいうところへ旅立っていった。

 なめんなよ、と。しかし、妻は、実際にはキレることなく、夫の実家で同居する。これはいまどき珍しい、よくできた嫁が綴る、日記体裁の小説である。

 どうして彼女はだんなの勝手な要望を、文句ひとつ言わず、受け入れてしまうのか。頭がユルイんじゃないの? かもしれないが、とにかく、彼女は夫にぞっこんベタ惚れ。だんなと血のつながった家族なら、自分も好きになろうと思うのだ。

タイトルの「オニ」は誰のこと?

 タイトルは、彼女の姿を見ると、すぐに逃げていく、飼い犬や猫の様子と結びつく。同居人たちはそれなりに彼女を気遣ってくれるものの、気ままなペットたちはなかなか「よそ者」になつこうとはしない。ときに、逃げる犬猫どもを追いかけ、嫁は、先回りして通せんぼをする。彼女の目線を借りると、

猫のほうは背中の毛を立てて、歯をむきだして、フーッと威嚇してくる。犬は、臆病。腰が引けている。

 ちなみに、嫁は湘南のレディースあがり。10代はバリバリの暴走族で、オツムがユルイわけでもヌルイわけでもないと、後になって素性がわかる。ぼんぼん育ちのだんなとは40過ぎで結婚。はじめの2年間はずーっとイチャイチャ、「世界は2人のため」みたいにして外のことなんて考えたこともなかったらしい。それがいきなり、だんなのいない、問題山積みの屋敷に放り込まれるわけだ。

 これは、家族小説ではあるが、孤立無援のジャングルに立つ嫁の戸惑いは、新人クンの職場体験にも似ている。だんなの家族なんてしょせんエイリアンみたいなもの。生活習慣も違えば、考えていることなんか、ちっともわからない。だからこそ、義父も義母も義弟も家政婦も、みーんなヘンに映る。その妙ちくりんな受け答えの一部始終がこの小説、なんとも楽しい。というか、よその家のごっちゃごちゃを覗くことほど面白いものはない。

 そして、元レディースの嫁のたくましいこと。紳士然とした元町医者の義父が胸をときめかせ、嫁に何かと親切にする。おかしなことになりかねない気配なのに、彼女はというと、義父のいい点だけを、今は考えようと鷹揚に、対処を先送りにする。困ったと思いながら、いざとなったらそのときはそのとき、という構えなのだ。

 あるいは、身体は動かないが口達者な家政婦さんから、「あなた、お嫁さんなんだから」と掃除の仕方でガミガミ言われる。「私は私のやりかたでするから」という嫁に、「あなたには任せられません」と家政婦も譲らない。「あなたはね、この家じゃ、わたくしより下の位置なんですよ、わかってますか」と睨む。つまり、自分の下にはペットの亀がいて、猫、そして犬と、家の中での不動の序列があり、「あなたはその下よ」だという。

 たかが掃除ですが、たかがといかない。ペット以下の暴言に、さあ、嫁はどういう反撃にでるか?

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