• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

インド・ムンバイ--格差の現実

伝統と文化を守る「スラム」

  • 藤田 宏之

バックナンバー

2007年5月7日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

  インド、マハラシュトラ州のムンバイ(旧ボンベイ)。24時間休まず動き続けるこの町では、道路はいつも渋滞し、真夜中でもクラクションが鳴りひびく。そんな街の真ん中に静まりかえった一角がある。100万人もの人間がひしめき合うスラムのダラヴィだ。

 迷路のように入りくんだ路地は狭すぎて、小型オート三輪のタクシーさえも通れない。だから、夜になると田園地帯のような静寂が訪れる。



乾燥中の土器を見渡す陶工の息子。陶器職人カースト「クムハール」の人々は、1930年代に共同の粘土採取場や窯を設け、以来ダラヴィで仕事を続けてきた。彼らは再開発計画によって、自分たちの土地が減らされたり、強制的に移住させられたりすることを恐れている。
乾燥中の土器を見渡す陶工の息子。陶器職人カースト「クムハール」の人々は、1930年代に共同の粘土採取場や窯を設け、以来ダラヴィで仕事を続けてきた。彼らは再開発計画によって、自分たちの土地が減らされたり、強制的に移住させられたりすることを恐れている。

 ダラヴィは「アジア最大のスラム」と言われ、「世界最大」と呼ばれることもあるが、どちらも正しくない。メキシコ市のスラム、ネザ・チャルコ・イツァ地区には、ダラヴィの4倍もの人々が住んでいる。

 アジアでは、パキスタンの首都カラチのオランギタウンシップというスラムの方が、ダラヴィより住民が多い。ムンバイだけでも、1200万人の人口のおよそ半数が「無認可の」住居に暮らしており、ダラヴィ並みのスラムはほかにもある。

 それでもここは特別だ。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中でも、中国と肩を並べてしゃにむに頑張っているインド。その経済の中心都市として急発展しているムンバイの中で、ダラヴィは中心部、すなわち超一等地にあるのだ。

 実は、このスラムの成り立ちや、住民たちの意識をひもとく意義は大きい。近年、世界中で都市部への人口集中が進んでいる。それだけにダラヴィは、世界の各都市に共通する課題を浮き彫りにできるからだ。「伝統的な価値観や人の営み」と「合理的な都市整備」との相克が生々しく浮かび上がってくる。

 19世紀後半まで、ムンバイのこの地域はマングローブの茂る湿地で、漁業を営む先住民コリが暮らしていた。その湿地がココヤシの葉やゴミなどによって埋め立てられて、漁場を失ったコリたちは酒の密造に商売替えをする。

 その埋め立て地に西部のグジャラート州から職業カースト「クムハール」の人々がやって来て、ここに陶器職人の村をつくった。一方で、南部出身のタミル人は、皮なめしの作業場を開く。北部のウッタルプラデシュ州からも大勢が移住してきて、繊維産業で働き始める。その結果、ムンバイの中でも、ひときわ多様性に富む街が誕生した。



重労働の日々。下水も流れ込む洗濯場で、南部のアンドラプラデシュ州出身の人々がわずかな収入を得ようと洗濯に励む。
重労働の日々。下水も流れ込む洗濯場で、南部のアンドラプラデシュ州出身の人々がわずかな収入を得ようと洗濯に励む。

コメント0

「「ナショナル ジオグラフィック日本版」編集長の「地球からの報告」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トップ自らが矢面に立つことで、問題は次第に収束していきました。

佐々木 眞一 日本科学技術連盟理事長、トヨタ自動車顧問・技監