「著者に聞く」

逃げるのも価値がある

『宋文洲の傍目八目』の著者、宋文洲氏に聞く

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2007年5月10日(木)

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 昨年、岐阜県の女子中学生がいじめを苦に自殺した時、
日本には逃げ場を与えようとしない空気、常識があると指摘した。
思い込みから逃げる、その大切さを説く根源にあるものは。

(聞き手は真弓 重孝)

あなたの「常識」、正しいですか?
宋文洲著
定価 1,260円(税込み)

 ――来日して20年以上たちますが、当時と現在で日本は、中国は、そして世界は変わったと思いますか。

 ものすごく変わったと思います。現象的なことで言えば、僕が日本に来た頃の中国は、経済発展が始まったばかりだったので、日本のカラーテレビをお土産に持って帰るとものすごく喜ばれました。それが今では、中国の家電メーカーでさえ薄型テレビを生産し、しかも儲からないような時代です。

 日本も変わりました。先日、初めて来日してから半年ほどしてできた彼女と、たまたま連絡が取れました。彼女から「あの頃は、『このままつき合い続けても、明るい出口はないだろう』と思っていた」と言われました。

 当時は、中国人留学生も珍しく、留学生がそのまま日本に残って僕のように起業することなど想像もできない状況でした。中国人の僕が東証1部に上場する企業のトップになっていたことを、彼女はつい最近まで知らず、とても驚いていました。

 今までのエピソードは、毒にも薬にもならないような話ですが、苦言という意味では、日本も中国もこの20年の間に拝金主義が信じられないくらい進んだと思います。

 ――それは何が原因なのでしょう。

 中国のことで言えば、トウ小平の改革開放が始まるまでは「人間は一切欲望を持ってはならない」と強いていたのを、改革開放でそのたがを外したのですから、反動が一気に出たのでしょう。文化大革命は人が本来持つ欲望を人工的に抑え、国家のために滅私奉公を強いた。人間の自然な振る舞いを抑制したのだから、文化大革命によって経済がおかしくなったのは当然です。

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