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『ロマンチックウイルス』が女性の自律を促す!?

中高年女性の「反乱」と「ほどほどの現実主義」――そして「市場」

  • 高原 基彰

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2007年5月9日(水)

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 本書の素材となっているのは、昨今の中高年女性に広がる、韓流スターや氷川きよしへのミーハー的な熱狂である。著者はそれを、次から次へと感染・伝播していく「ロマンチックウイルス」と名づける。

『『ロマンチックウイルス』島村麻里著、集英社新書、700円(税抜き)

ロマンチックウイルス』 島村麻里著、集英社新書、700円(税抜き)

 しかし、自身もミーハー歴40年という著者が本書を書いた目的は、この現象の表面的な推移を紹介することでは決してない。中高年女性の熱狂を素材にしつつ、現代における女性の「自律」の方向性と可能性を探る、いわば「フェミニズム再考」が本書のテーマとなっているのではないだろうか。

持続可能な趣味としてのミーハー

 著者は、これまでだったら「大人の女がミーハーなんて」と白眼視されがちだったこうした熱狂に、(「ミーハーの初心者」による行き過ぎには「ベテラン」として眉をひそめつつも)共感し、寄り添おうとする。

 その共感を下支えしているのは、これが“女性の自律”の可能性を示す現象と考えているからだろう。この現象を著者は、大別して3つの領域にわたって紹介する。

 第1に、消費者としての女性の自律性だ。元来「ミーハー」な消費者たちは、ただ与えられたものを受け取る、受動的な存在とされてきた。しかし現在では、インターネットなどにおけるファンの自発的表現が定着し、消費は能動的なものとなりつつある。

 女性についていえば、こうした自律性は、男女雇用機会均等法がもたらした新しい世代――典型的には1980年代後半以降の「OL」というカテゴリー――によって象徴される、女性の可処分所得の増大による部分が大きい。またマスメディアの現場で働き続ける女性も増加し、雑誌とテレビの両面で「ロマンチックウイルス」の下地が準備されてきた。

 だが、日本の文化産業は、こうして中高年女性たちが培養してきた独自の嗜好を、すくい上げられないできた、と著者は述べる。それは「ロマンと郷愁」であり、青春時代の恋愛感情をもう一度体験したい、でも当時の芸能人ではなく若い男の子が、それも中高年の自分に振り向いてくれそうな子が良い、という欲求である。韓流、ハンカチ王子といった「ロマンチックウイルス」がメディアで大々的に取り上げられることは、有望な市場を見逃し続けてきた文化産業に対し、中高年女性が翻した「反旗」であると言う。

 第2に、家庭内での女性の自律である。消費者としての女性の自律性を象徴するのが均等法世代のOLたちだったのに対し、こちらは主に専業主婦を念頭に置くものだろう。

 「恋愛―性―結婚という三位一体の価値を信じ」、呪縛を受けてきた世代の女性たちにとっての韓流スターは、露骨で直接的な性的アピールを発しているわけではなく、中高年ファンを大切にしてくれそうで、かつ現実の家庭生活の崩壊につながる直接行動の相手でもない。彼らは「心地よい安全地帯の熱狂や妄想」を提供してくれる格好のアイドルだった。それは、「『良妻賢母』たちが世間や男たちに対して上げた」、「反乱の狼煙」であったと著者は言う。

コメント1件コメント/レビュー

50歳の女性ですが、韓流スターについては、一昨年は韓国旅行までして騒いでいた友達も、去年になると、気を使って話しを振っても、もういいわって感じです。ブームだからということで乗ってみても冷めるのも極めて早いので、その熱狂はどれだけ本気なのかという気はかなりします。日本のスターだと、80歳の母がキムタクがかわいいとか言って、ドラマがつまらなくても観ていますが、友人の間でスターが話題になることは殆どありません・・・「のだめ」とかドラマ自体を話題にすることは多いのですが。ビジネス書やビジネス小説を読む人間でも、美形や浮気を出さずにいられない大御所の作品は相手にされません(その点も含めてかどうか、黒木さんの小説は評価が高いです)。ロマンチックウィルスに侵されている女性が一定数いて、高い消費性向で目立つという事実はあるのでしょうが、そういう人たちが多数派だとは、正直思えないのですが。(2007/05/09)

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50歳の女性ですが、韓流スターについては、一昨年は韓国旅行までして騒いでいた友達も、去年になると、気を使って話しを振っても、もういいわって感じです。ブームだからということで乗ってみても冷めるのも極めて早いので、その熱狂はどれだけ本気なのかという気はかなりします。日本のスターだと、80歳の母がキムタクがかわいいとか言って、ドラマがつまらなくても観ていますが、友人の間でスターが話題になることは殆どありません・・・「のだめ」とかドラマ自体を話題にすることは多いのですが。ビジネス書やビジネス小説を読む人間でも、美形や浮気を出さずにいられない大御所の作品は相手にされません(その点も含めてかどうか、黒木さんの小説は評価が高いです)。ロマンチックウィルスに侵されている女性が一定数いて、高い消費性向で目立つという事実はあるのでしょうが、そういう人たちが多数派だとは、正直思えないのですが。(2007/05/09)

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