• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

2000キロを旅する“渡り蝶”

自宅の庭で探してみよう!

  • 藤田 宏之

バックナンバー

2007年5月21日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 『ナショナル ジオグラフィック日本版』5月号では、国内の特別編集企画として、日本で唯一「渡り」をする蝶として知られるアサギマダラを紹介した。最長2000キロにもおよぶ旅をするこの蝶の謎を解こうと、日本各地に調査の輪が広がっている。

 語り部を引き受けてくださったのは、この蝶に惚れ込んで長年研究を続けるアマチュア研究家で、高校教師の窪田宣和さんだ。

 青く澄みきった空。その化身のような蝶が、満開のヒヨドリバナめがけて舞い降りてくる。「来た!」――歓声を上げる子どもたちの捕虫網をかいくぐると、蝶は数回羽ばたき、頭上へふわりと舞い上がる。なめらかに旋回しながら、やがてその姿は周囲の木立より高く、小さくなり、視界から消えていった。

 「あれがアサギマダラか。残念だったね」と、初参加の親たちがなぐさめる。「花にとまるまで待って、それから捕まえるといいですよ」と指導者が助言する。毎年繰り返される、アサギマダラ調査の一コマである。ここは、愛知県知多半島南部の岬にある冨具神社。森に囲まれた境内で、私がこの不思議な蝶を追いかけ始めて、今年で23年目になる。




太平洋を眼下に望む愛知県伊良湖岬の崖で、ツワブキの花から蜜を吸う一頭のアサギマダラ。南へ向かう旅の途中、渡り鳥の中継地としても有名なこの岬に立ち寄ったのだろうか(写真=佐藤英治)
太平洋を眼下に望む愛知県伊良湖岬の崖で、ツワブキの花から密を吸う一頭のアサギマダラ。南へ向かう旅の途中、渡り鳥の中継地としても有名なこの岬に立ち寄ったのだろうか。(写真=佐藤英治)

 蝶は、我々日本人の心に強く訴えかけてくる生物の1つである。長い距離を渡るこの蝶の秘密を探るために、マーキングによる調査が進んでいる。

 アサギマダラ(Parantica sita)は、翅を開くと10センチ前後の、比較的大型の蝶である。黒と栗色に縁どられた翅脈の間が、その名の通り浅葱色(淡い水色)に透きとおり、まだら模様になっている。独特の優美な飛びかたをする、なんとも美しい蝶だが、最大の魅力はその行動にある。アサギマダラは日本で唯一知られている、長距離の「渡り」をする蝶なのだ。

 長距離の移動が初めて確認されたのは、1981年。鹿児島県の種子島から飛びたった蝶が、遠く離れた福島県と三重県で見つかったのである。思いがけない知らせに、昆虫研究者たちは「北米のオオカバマダラのように、大規模な季節移動をしているのではないか」と、色めきたった。

 移動にかかわる謎の解明には、データを一つひとつ積み重ねていくしかない。その方法が、野生生物の行動や個体数の調査に用いられる「マーキング」である。捕獲した個体に標識をつけて放し、再捕獲により移動の実態を確認する。鳥類やウミガメなどでは標識タグを付けるが、アサギマダラの場合は、油性ペンで翅に直接マークを記入する。この方法は、蝶の飛翔や交尾行動などに影響しないことが、野外での観察から分かっている。


 自然に親しみながら、誰でも気軽に参加できるマーキング調査はやがて、子どもたちや野鳥の愛好家、プロの研究者まで巻きこんだ活動へと発展した。

 今では毎年、全国で数万頭にマークがつけられる。再捕獲される確率はせいぜい1%程度だが、それでも年に数百の移動記録が得られ、実態の解明に貢献しているという。



5月下旬、大分県姫島でスナビキソウの上を乱舞するアサギマダラ(写真=岡本 潤)
5月下旬、大分県姫島でスナビキソウの上を乱舞するアサギマダラ。(写真=岡本 潤)

コメント0

「「ナショナル ジオグラフィック日本版」編集長の「地球からの報告」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官