• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

(4)「空き待ち」が出る中古マンションの秘密

「安心」が資産価値を守る時代に

  • 山岡 淳一郎

バックナンバー

2007年5月25日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 大阪府枚方市に築後30年、総戸数380戸の「労住まきのハイツ」がある。

 高度成長期、枚方が大阪のベッドタウンとして拡大するのを支えた団地のひとつ。立地が特段いいわけでもない。平均的な部屋の広さは70平方メートル弱。外観は典型的な郊外型マンションなのだが、地元の不動産業者に「空き待ち」のオファーが入るほど人気が高い。数年前、600万円ほどで「投げ売り」されていた住戸の価格が、リフォーム込みとはいえ900万円近くまで回復した。古いマンションでは珍しい現象だ。仮に1戸平均100万円のアップとしても、団地の総資産額はだいたい4億円上がったことになる。

 周辺の地価は停滞したままだ。普通ならマンションの中古価格はどんどん下がり続ける。なぜ、上昇に転じたのか?  

 ここでの暮らしが「安心」できるからだ。

 住民たちが、自前の「企画&管理力」で建物とコミュニティの維持・安定化を図っていることから「安心感」が具体的な形、あるいは住民間の関係性として目に見えるようになった。それが口コミで評価され、資産価値の上昇につながっている。この事実は、もうすぐ築後30年以上のマンションが100万戸を突破する大量ストック時代において、極めて示唆的である。と同時に、いま、新築マンションを買っている人たちが資産価値を守るうえでも大切なヒントを与えてくれるだろう。

 まきのハイツの転機は、7年前の「大規模修繕に向けての長期修繕計画づくり」だった。それまでは、管理組合の役員のなり手もなく、委託した管理会社に維持管理すべてを「丸投げ」していた。しかし、建物の老朽化がいよいよ進み、高齢者の一人暮らしが増え、「何とかしなくては」と考えた住民が管理組合の連合組織「NPO法人京滋マンション管理対策協議会(以下、京滋管対協)」に相談したことから流れが変わった。

「楽しく、賢く、新しく」

 京滋管対協は、京都・滋賀を中心に200以上の管理組合(約2万4000戸)が加盟する団体。「楽しい管理組合を作ろう!賢い区分所有者になろう!新しい地域コミュニティを作ろう!」をキャッチフレーズにコンサルタントの派遣や研修会を通じてマンション住民の「企画&管理力」の向上を図っている。

 「自分の資産は自分で守ろう」。第三者から改めてこの原則の大切さに気づかされた住民たちは「素人は手を出すな」と言わんばかりの管理会社のやり方を切り崩すところから「自力更生」へと進んだ。活動を先導する住民の1人、Tさんが言う。

 「たまたま管理組合の理事長になったのですが、会社から派遣されていた管理人のずさんさに驚きました。過去の修繕工事の履歴を出してほしいと言っても回答なし。いつ、どこをどう修繕したのかが分からなければ、長期の修繕計画は立てられません。管理費の使い道も不透明。領収書類も仕分けせず、袋の中に突っ込んだまま。長距離の私用電話はかけまくる。まるで団地の『主』のような振る舞いでした。いろいろ問いただしたら、素人は黙っとれ、という感じで話にならない。口も利きたくなかったので、恋人どうしでもないのに毎日『交換日記』で、質問を投げかけ、答えさせた。初めは素人が専門家に太刀打ちできるかと不安だったけど、住民の中にも建築や不動産、金融のプロがおりました。チームを組んで徹底的にチェック。1年後には管理人を交代してもらった。マンションの資産は、単なる建物やない。第一に人、そしてその生活そのものなんです」

マンションの一大イベント、大規模修繕

 一般に築後10~15年で迎える「大規模修繕」は、マンションにとって一大イベントである。

 外壁や屋上、バルコニー、階段、廊下などの「共用部分」、給排水、ガス、電気、消防などの「設備関係」、道路や駐車場の「外溝」などを含む大規模修繕は、長期の修繕計画のもとに行われる。億単位のお金をかけることも珍しくない。その工事費用は、住民が月々支払う「管理費等」に含まれる修繕積立金によって賄われる。

 超高層タワーマンションであれ、低層の小規模マンションであれ、建物の劣化を防ぐ大規模修繕は不可欠だ。もしも修繕を怠れば、外壁のひび割れから雨水が浸入し、地獄の苦しみを味わうことになる。工事や支払い方法の判断は「住民総会」での「合意」に委ねられる。オレは関係ない、と主張しても、マンション住民である限り、この手続きを避けては通れない。

 にもかかわらず、マンション購入時に大規模修繕に至る経緯が詳しく説明されることは少ない。たいてい管理会社のマニュアルに沿った修繕計画が示され、「こうなっています」で、おしまい。建物の立地や規模、施工、管理状況で痛み方は千差万別。合理的な修繕はマニュアル通りとはならないのだが……。

コメント1

「マンションに住んで幸せになろう」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

韓国がダメでも、日本なら技術を見る「目」が投資家にあるはずだ。

崔 元根 ダブル・スコープ社長