• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

思い通りにならない嬉しさ

~「まちおこし」は誰のために?

  • 小橋 昭彦

バックナンバー

2007年6月4日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 講義の後、質問用紙を渡してくれた若いあなたへの返事として、この一文を書きます。

 山間部の農村で実践している内容の紹介を中心にした大学でのひとコマは、必ずしも都心に住むあなたの興味と一致するものとは言えなかった様子です。ぼく自身、若いときは田舎のまちおこしなんて考えていませんでしたから、それは仕方のないことでしょう。それでもあなたは、ていねいな感想とともに刺激的な意見を提出してくれました。

 あなたは、「都会の人を振り向かせようとするまちおこしはやめるべきではないか」と書いてくれたのでしたね。ぼくはあなたの文章を、何度も読み返しました。それが自分自身を勇気付けてくれたからです。

「まちおこし」「ムラおこし」の目的は?

 まずはお話させていただいた要点をかいつまむところからはじめましょう。ぼくは、NPO法人を母体に仲間と行っているまちおこし活動を紹介し、仲間たちを活動に駆り立てた動因について考えたのでした。NPO法人情報社会生活研究所は「情報化を通したまちおこし」を行っています。地域のさまざまな団体と協力し、活動内容は多岐にわたっているのですが、なかで代表的な活動として紹介したのが、「田舎.tv」と「里山ウォークデイ」でした。

 田舎.tvは、農村に暮らす住民自身が身の回りのできごとを写真や動画で紹介するウェブサイトです。昨今のブログの流行で身辺雑記的なホームページは珍しくなくなりましたが、サイトを開設した2002年半ば(あなたが高校生になったばかりの頃)の段階では、農村からその種の情報を発信することは、珍しいことでした。

 イベントや名所の紹介を禁止していることは申し上げましたよね。地域情報というと、つい観光情報を発信してしまいがちなのですが、そうならないためのルールを最初から設けていたのです。

 一方の里山ウォークデイは、里の一集落を自由に散策してもらう一日です。ルートや時間は決まっていません。受付で地図をお渡しした後は、訪れた方の思いのままです。普通、見知らぬ人が集落内を歩いていると、田舎の人は警戒の眼で見るのですが、この日ばかりは特別。民家も何軒か開放されていて、縁側でくつろいだり、五右衛門風呂に入ったり、家のお年寄りからわらぞうり作りを教えてもらったりできます。何もないこと、田舎の日常を楽しんでもらうことが主眼です。

 さて、あなたの質問は、都会の人を振り向かせようとする姿勢への疑問でした。あるいはこうした紹介の仕方が誤解を生んでしまったかもしれません。じつは、ぼくもあなたのおっしゃるとおり、都会の人を振り向かせようとするまちおこしには懐疑的です。そうした、どちらかというと商業的な考え方が、田舎を疲弊させてきたと考えているほどです。田舎.tvで観光的な情報を禁止したり、里山ウォークデイで何もない日常を重視しているのも、そうした考え方からなんです。

コメント1

「ムラからの手紙」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

ライバルは思わぬところから出現します。

浜田 健一郎 ANA総合研究所 シニアフェロー・前NHK 経営委員長