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【第5回】 美空ひばりショックで販売チャンスを逃す?

今のような極端な採算性優先、経済重視ではいい作品は作れない

  • 諸石 幸生

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2007年6月8日(金)

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エリアフ・インバル指揮、フランクフルト放送交響楽団によるマーラー交響曲シリーズは、まずフランス、続いてドイツと、ヨーロッパでの評価が最初に確立された。だが、肝心の日本での評価が盛り上がらない。いや盛り上がらないという以前に、日本のジャーナリズムが関心を示してくれないのである。業を煮やした川口義晴プロデューサーは指揮者をコンフェランスに呼んで語らせるという、当時としては画期的な企画まで立てて実行するのである。そしてようやく風が吹き始めたのだが、それは既に第5弾のリリースにさしかかろうとする頃(1986年)だった。


マーラーの世界的権威を呼び、対談の場を設ける

―― インバルを呼んでマーラーについて語らせる、そんな会見を開いてジャーナリストたちの目を開かせる、大変な苦労でしたね。

「地球の温暖化と同じくらい、文化は貧困化している」と語る川口義晴さん

「地球の温暖化と同じくらい、文化は貧困化している」と語る川口義晴さん (写真:清水 健)

川口: でも、当時は苦労だなんて思いませんでした。努力したといった感じもまったくしない。少なくとも、ディレクターとしてやっていて、努力して大変だったとか、…大体僕は努力するのは嫌いだし、そう思ったものはまずうまくいかない。何とかしなきゃ、いつもそれだけでした。このイベントはインバルも結構楽しみながらよくやってくれましたよ。ただ通訳を用意したのに、ちゃんと自分の意志が伝わっていないと言い出して、いきなり僕がフランス語の通訳に駆り出されたのには困りましたけどね。通訳の人には悪いし、インバルは歯の矯正をしている最中だったので、言葉が聞き取りづらい。閉口しました。

―― アンリ=ルイ・ド・ラ・グランジュもそのあとしばらくして来ましたね。

 この間お話したように、彼はマーラー研究の第一人者であるわけですが、フランクフルトで話していたら近々岡山県津山市の音楽祭での講演のために日本に行くという。それでいいチャンスだと思い、日本の宣伝をしている久木崎秀樹さんに連絡して、彼(ド・ラ・グランジュ)と「レコード芸術」誌の交響曲欄を担当している評論家と話をさせるセッティングをしてくれ、と頼んだんです。なにしろ、その評論家だけがインバルのマーラーについて最後まで厳しい評価をしていた。自分はマーラーの権威だと思っているし、一筋縄ではいかない。その対談は実現しました。僕はその対談の場にはいなかったし、日本にもいなかったからあとから聞いた話ですが、「あなたの評価はまったくだめだ」「マーラーについての認識も間違っている」、とド・ラ・グランジュの指摘は痛烈だったらしい。それでその評論家はインバルに対する評価を変えた。それでインバルのマーラーはやっと評価が定まってきたんです。

インバルへの印税、そしてひばりショック

―― このマーラー・プロジェクトの予算は破格に安かったと言うことですが、それでも通常の規模ではなかったでしょうね。

 ええ、それはもうオーケストラを雇ってやるわけですからね。ソリストも入ります。第8番《千人の交響曲》は8人ですから、声楽ソリストが。しかも、いちいちこっちから人が行かなきゃならない。機材を調達しなきゃならないことだってある。室内オーケストラの録音だったらマイクも4~5本で足りるかもしれないが、全然規模が違いますからね。

―― 予算の具体的な数字は秘密ですか。

 昔のことなんで、僕自身があまり覚えていないのです。とにかくオーケストラに対する支払いは高くはなかったですよ。

―― ヘッセン放送は何も出さないわけですね。

 うーん、結局、ホールの費用を持つとか、練習と称して録音セッションを組むとか、そういうことをやってくれましたね。それからコーラスはドイツの放送局間の規定があるから無償でいいとかね。すごく助かりました。インバルについても放送局の職員だから一切払うなとね。

―― え、それはないでしょう?

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