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逆襲のテクを学べ。『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』

多勢に対抗する反論に説得力を持たせるための方法

  • 漆原 次郎

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2007年6月13日(水)

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『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』 武田邦彦著、洋泉社、952円(税抜き)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか』 武田邦彦著、洋泉社、952円(税抜き)

 みんなが常識として捉えている事柄に、「それはウソ」とあえて反論を唱える人がいる。「この世の中、まちがっている」という正義感からであれ、「目立つことを言って、人気を得よう」という名声欲(あるいは金銭欲)からであれ。

 だれもが右に向かって歩いている中で、あえて左に向かう。真っ白なキャンバスの中に黒い一滴の液を垂らす。世の中を支配する意見にあえてアンチテーゼを示すことは、注目を集めるうえで、効き目のある方法だろう。

 結果、まったく主張が受け入れられずに、「そんな人もいたね」で片づけられる人もいれば、「世の中に“波”を起こした立役者」として英雄になる人もいる。

 いま、その分かれ目に立っているひとりが、『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の著者かもしれない。名古屋大学大学院教授で、専門は資源材料学。政府の委員会や審議会の委員もつとめる人物が、「環境問題の常識に異を唱える」という戦いを繰り広げている。

 おもに3つの環境問題のテーマで本書は成り立っている。ごく簡単に示せば、「ペットボトルをリサイクルするほどごみが増える」「ダイオキシンは猛毒ではない」「地球温暖化で報じられていることは誤りだらけ」というものだ。

 早春に発売されたこの本、売れているらしい。

初期戦果は申しぶんなし。勝利の理由は?

 関西キー局のバラエティ番組で大々的に取りあげられて火が付いた。著者も番組にゲスト出演。弁の立つ論客を向こうにして、環境問題で常識をつぎつぎと「それはウソ」と否定した。関東で放送されなかったことを除けば、宣伝効果は申しぶんなかっただろう。

 テレビ番組を使って耳目を集めることができても、称讃を得られるかはまた別の話。でも、ネット上で読者の感想を見るかぎり、評価も良好だ。「地球環境問題を見直すきっかけになる本」「環境問題に対する思い込みをザクザク切り刻む爽快感を楽しめる」などの声があがっている。

 評者の感想はのちほど申しあげるとして、なぜ本書が読者に受け入れられたのか、理由を本の書き方から読み解いてみたい。“多勢に対抗する反論”に説得力を持たせるための方法として、我々も使えるかもしれないからだ。2つあげてみよう。

 1つ目は、分かりやすい比喩を使って、説明を単純明快にする術。たとえば、仮にペットボトルを効率よくリサイクルできたとしても、石油消費の節約にはほとんど効果がないという主張を次のように説明する。

<月給を20万円貰っている人が「200円節約すると生活が楽になる」と言うようなものである。>

 また京都議定書のホスト国・日本が、批准をしなかった米国を批判しつつも、自分たちは排出権取引により温暖化ガス削減目標を達成しようとしている姿をこんな具合に例える。

<「みんなで心を合わせて町を綺麗にしよう」と呼びかけ、掃除に出てこない人を非難し、それでいて当の本人が出てこずにお金で雇った人を出すということと同じだからだ。>

 本書の主張内容は、けっこう微に入り細に入り専門性が高い。でもこれらの比喩を目にすると、つい分かったような気にさせられる。

 2つ目として見逃してはならないのは、明確に“悪者”を設定している点だ。

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