• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

『心からのごめんなさいへ』の道筋

~少年院の現場改革はなぜ成し遂げられたのか

  • 松井 大助

バックナンバー

2007年7月4日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

『心からのごめんなさいへ』 品川裕香著 中央法規出版 1900円(税抜き)

心からのごめんなさいへ 』 品川裕香著 中央法規出版 1900円(税抜き)

 タイトルからしてお涙頂戴の話かと思いきや、よい意味で大きく期待を裏切られる。本書は、少年院の教育の現場に迫ったノンフィクションであると同時に、「“現場”改革の原理原則」を教えてくれる実用的なケーススタディだ。

 舞台となる京都の宇治少年院では、かつて、教官たちと少年たちとの意志疎通が不十分で、うわべだけの反省で出所した少年たちが再犯に及ぶという悪循環を断ち切れずにいた。

 その流れを変えたのが、本書に登場する向井教官たちである。彼らは、院内に前向きなムードを生み出し、収容人員の増加にもかかわらず再犯率の引き下げを実現させた。そうした改革をなぜ成しえたのかを、本文に沿って紹介したい。

情熱とノウハウはあった。足りなかったのは?

 大前提として挙げられるのは、向井教官らが少年たちの更正に「情熱」をもち、そのための指導の「ノウハウ」獲得にも熱心だったことだ。彼らは海外のノウハウにも目を向け、専門家のワークショップにも積極的に参加していった。

 ただし、彼らはそれだけで状況を改善できたわけではない。期待していた海外の指導ノウハウは、思いのほか少年院の従来のやり方と変わらず、「これだ!」と感じて導入した新しい指導方法も当初は失敗に終わった。

 情熱とノウハウは十分にあった。ほかに何が足りなかったのだろうか?

 キーポイントとなるのは、向井教官たちが「現場を踏まえた」「段階的なゴール」を設定したことだった。

 彼らはまず「現場」=「向き合う相手(少年たち)の特性や、自分たちの強みや弱み」を見つめ直す。

 向井教官は、院生に対して「発達障害に似た症状をもつ子が多いのではないか」との感触をもっていた。そこで文献を読みあさり、発達障害の子の集まるキャンプにも参加したりして、頭も足も使って少年たちの理解にまい進した。

 さらに同じ問題意識をもつ鑑別技官と協力し、独自の検査によって、院生の過半数に発達障害や学習障害に似た症状が見られることを科学的にも実証した。

 結果、彼らは「院には(ものごとをとらえ、考えて理解する)“メタ認知能力が弱い傾向がある”少年が多い」という視点を揺るぎないものにする。

ゴールを4段階で設定

 そのうえで自分たちの武器=指導ノウハウを見直すと、その視点を忘れずに話し方や手順をちょっと工夫すれば、少年たちに効果的なものも少なくないことがわかってきた。

 そうして現場をつかんでから、向井教官たちは少年院として目指すゴールを定めた。その特徴は、「少年たちに社会性を身につけさせる」という最終目標に向かうまでの段階的なゴールも設定したことにある。具体的には次の通りだ。

  1. コントロール
  2. 参加
  3. 委任・自治
  4. 社会復帰・規範意識の内面化/再社会化

 注目したいのは、はじめと終わりで指導方法が180度変わることだ。

コメント1

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の未来は、男性と同じ程度、女性のリーダーが作っていくものだと確信している。

ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長