• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第6回 「日本美術の感傷性」とは何か

平生の生活で隠している情感世界の内幕を見せる浮世絵

  • 宮島 新一

バックナンバー

2007年6月21日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 東京文化財研究所(東京・上野公園)や大和文華館(奈良市)の礎を築いた矢代幸雄氏が戦前に著した『日本美術の特質』(岩波書店)という書物がある。そこで矢代氏は4つの特色を述べているが、そのうち最も重要と思われるのが4番目に説く「日本美術の感傷性」である。「感傷性」という言葉では分かりにくいが、浮世絵を論じた部分でこう述べている。

画家の精神的背景を探るのは日本絵画では邪魔なこと

喜多川歌麿《風俗美人時計子ノ刻妾》大判錦絵 江戸時代 国立博物館蔵 Image:TNM Image Archives

喜多川歌麿 《風俗美人時計子ノ刻妾》
大判錦絵 江戸時代 国立博物館蔵
Image:TNM Image Archives

 「平生の表向きの生活より隠して置いた情感世界の内幕を、浮世絵は覗き見せる役割をなし、従って之を以て、日本人の最も内密(アンテイム)なる美術、容易に人には見せられない美しき弱点を披瀝した芸術」

 「内密(アンテイム)なる美術」という言葉、おそらく、これこそが日本美術の核心をつく言葉だと思う。

 西洋絵画を見る時には画家が何を訴えようとしているかを究めるために、作品が生まれた精神的な背景を探ろうとするのが普通だが、日本絵画を見る時にはそうした態度はむしろ邪魔なのである。日本の画家には思想が希薄なのだから、主張を問うのではなく、打ち解けあわなくては作品は何も語り出してはくれない。決して崇めてはならない相手なのである。

 それに気がつかないまま日本美術を研究対象にすると、どうしても作品の外的な要素、いつ制作されたかとか、画家の経歴調べなどに終始することになる。周りの西洋美術史研究者や美学・芸術学研究者にとってはそれが不満だったようだ。研究室では肩身の狭い思いばかりが募ったが、日本絵画の特色に気づくにはもう少し時間が必要だった。

コメント0

「日本美術と道づれ」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官