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フリーマガジン隆盛に思う、音楽批評の行方

新聞・音楽雑誌の批評の存在意義は希薄になっていく?

  • 林田 直樹

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2007年6月29日(金)

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クラシック音楽のフリーマガジンが次々創刊

 今、クラシック音楽界でフリーマガジンが元気だ。最近は、ぴあが発行する「ぴあ クラシック最新情報」が年4回定期刊行化された。初心者向けに親しみやすく作られた誌面が、クラシック音楽ファンのすそ野を一層広げてくれそうである。昨年は、「チケットクラシック」がリニューアルして、「アートガイア・クラブマガジンTC」(アートガイア発行)となっている。クロスジャンルな内容を志向し、パトロネージュをテーマとした高級感ある誌面ながら、これも無料。そしてこれらのフリーマガジンの草分けとなっているのが、1994年に創刊されたハンディな情報誌「ぶらあぼ」(月刊/東京MDE発行)で、今や最も大きな影響力を持つクラシック音楽雑誌の1つとさえ言える。

 「ぶらあぼ」の発行部数は約5万5000部、「ぴあ クラシック最新情報」が10万部、「チケットクラシック」が5万部。3誌合わせれば20万5000部もの大部数のフリーマガジンが、各地のコンサートホールや劇場、音楽大学、CDショップ、楽器店などで無料配布されていることになる。これに、タワーレコードが出しているコアファン向けの「イントキシケイト」などのCDショップ系、さらにはインターネットだけに特化した「クラシック・ニュース」も一種のフリーマガジンと考えれば、今のクラシック音楽界には、膨大な情報が無料で流通していることになる。

 ところで、こうしたフリーマガジンの隆盛から、現代のクラシック音楽界の3つの特徴を読むことができる。

  1. 情報はタダが当たり前になったこと。
  2. 初心者層が消費の主役になったこと。
  3. 批評が切り捨てられたこと。

 このうち3.については、いよいよそうなったか、という感じである。フリーマガジンは広告主あっての媒体だから、すべての記事は宣伝に配慮したものであり、批評が成立しないのはある意味当然だが、逆に言えば批評など切り捨てても音楽雑誌はできるという考え方が一般的になったからこそ、フリーマガジンが元気なわけだ。

音楽批評が切り捨てられた理由

 そもそも、従来の音楽雑誌におけるクラシック音楽批評は、レコード評であれ演奏会評であれ、ごく少数のクラシック音楽ファンだけを相手として成り立ってきた。そこには読者だけでなく、音楽業界の側からの批評への需要というものもあった。つまり、レコード会社は、例えば「レコード芸術」誌の「レコード芸術特選」という“お墨付き”を販促の道具に使っていたし、コンサートを興行する側は、「音楽の友」誌などの演奏会評の好意的な記述を演奏家のプロフィールや実績作りに使ってきた。

 しかし、ある時期から、音楽批評への業界からの“需要”に変化が起きる。この変化は1995年から始まった。つまり、「アダージョ・カラヤン」という編集企画盤(CD)が爆発的なセールスを記録した年である。このセールスは、既成の音楽雑誌の読者とは無縁の世界で起きた現象である。後続の「EVER!」や「image」などのCDも同様だ。やがて2001年にはJクラシックという言葉が定着し、美男美女の邦人アーティストたちによって、クラシックはどんどん「ポップ」で「分かりやすく」なっていく。こうして徐々にクラシック音楽は、ごく一部の人々のための閉鎖的な趣味から、もっと一般的な娯楽へと開放されていったのである。今や、クラシック音楽業界にとって最大の顧客は、いわゆるグレーゾーン層――何となくクラシックが好きな人々――と言っていい。

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