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第7回 大学紛争の真っ只中の昭和44年

明るさと広がりが感じられる「浜松図」に出合い、共感する

  • 宮島 新一

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2007年7月5日(木)

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 集中的に中国の明・清時代の絵画に接した中で、最も印象に残っているのは住友家コレクションの漸江(ぜんこう)筆『竹岸蘆浦図巻(ちくがんろほづかん)』である。同家では有名な八大山人(はちだいさんじん)の『安晩帖』や石濤(せきとう)の『黄山八勝画冊』にも大きな感銘を受けたが、漸江が自分の嗜好(しこう)に最も合った画家であることを知った喜びの方が大きかった。漸江(1610-64)は倪雲林(げいうんりん)の再来と言われるように、白描風の山水図に特色がある。ここにも私の「白描画」好きが顔を出している。水墨画の白描とは極力、墨による岩の陰影を強調しない、清潔な画趣を特徴とする。

 住友家には同じく漸江の手になる『江山無尽図巻』という複雑な山塊をまとめた構成力のしっかりした図巻があるが、それよりも『竹岸蘆浦図巻』の、方解石のように角張った岩と、まっすぐ伸びる蘆(あし)の穂の群れとの対比が鋭角的に目を刺す、人を拒絶するような寂しげな風景に心ひかれた。

古美術商のコレクションを見る学生グループに参加

 同じ時期に学会の長老、源豊宗先生に率いられて関西の古美術商のコレクションを見る、大学を横断する学生グループにも入れていただいた。展覧会場と違って作品にじかに接する機会を与えていただいたお二人には今も感謝の気持ちでいっぱいである。

 昭和43年、44年というと大学紛争の真っ只中で、大学は封鎖され講義はほとんど行われなかった。今から思うと、学外でのこうした活動はその影響を受けてのことだったのかもしれない。私は、大学闘争の主張は別世間的な研究姿勢を問うものだったと理解しているが、そのくせ研究を阻害するようでは迷惑なだけ、という立場をとっていた。わずか1年の差ではあるが、すでに大学院に進んでいたことが、すぐ下の団塊の世代と意見を分ける結果となった。

 昨今はどっちを向いても「団塊」の2文字ばかりが踊っている。私は最も人口が少ない昭和21年生まれである。純粋の戦後生まれでありながら、戦後派とは少し違うという意識がある。「最少」世代として彼らと同一視されたくないという気持ちはあっても、わずか1年だけの差なのでいつの間にか呑(の)み込まれてしまっている。どこからも注目されない戦前世代と戦後生まれのつなぎ役。踏台のように目立たない世代である。

《浜松図》右隻
《浜松図》左隻

《浜松図》 紙本著色 六曲屏風 一双 室町時代(15世紀) 各 縦159.7cm 横355.8cm 重要文化財 文化庁蔵 上が右隻、下が左隻


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