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「マラリア」の迫りくる脅威

温暖化で流行域拡大か?

  • 藤田 宏之

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2007年7月6日(金)

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 温帯で暮らす日本人が、「マラリアの脅威」と聞いてもピンとこないかもしれない。天然痘(てんねんとう)やポリオ(小児まひ)のように、すでにほぼ制圧された過去の感染症というイメージが強い。

 しかし、現実には世界は今、史上最悪と言ってよい大流行に見舞われている。「ナショナル ジオグラフィック日本版」7月号では、シリーズ「地球の悲鳴」として、その実態をリポートした。

 いま現在、流行地域は106カ国に及び、世界の人口の約半分がそこに暮らしている。今年は5億人が感染し、少なくとも100万人が死亡するとみられている。



インドのコルカタ(旧カルカッタ)の道路には豪雨で水があふれ、タクシーも立ち往生するしかない。水が引いた後の水たまりにはボウフラがわき、マラリアを媒介する蚊が大量発生する温床となる。モンスーンの豪雨に見舞われるインドでは、排水設備の不備な都市部にマラリアがはびこっている
インドのコルカタ(旧カルカッタ)の道路には豪雨で水があふれ、タクシーも立ち往生するしかない。水が引いた後の水たまりにはボウフラがわき、マラリアを媒介する蚊)が大量発生する温床となる。モンスーンの豪雨に見舞われるインドでは、排水設備の不備な都市部にマラリアがはびこっている。

 命を落とすのは大半が5歳未満の子どもたちで、その圧倒的多数がアフリカに集中している。20~30年前と比べて、年間の死亡者数は倍増している。

 マラリア禍が騒がれだしたのは、ごく最近のことだ。マラリアは貧しい人々の病気とみなされ、欧米の先進諸国ではあまり注目されなかったからだ。豊かな国々にはほとんど無縁な感染症であることが、この病気の最も不幸な側面だと言う専門家もいるほどだ。

 私たちの知らないうちに、極貧にあえぐ地域では、病原菌であるマラリア原虫を宿したハマダラカ蚊の群れが人々を脅かし、人間社会が崩壊しかねない事態に陥っている。

 ここ数年、国際的な援助機関などがようやく、この問題に本格的に取り組みだした。世界保健機関(WHO)はマラリア対策を主要な優先課題に据え、マラリア対策専門の基金は2003年以降2倍に増えている。

 決定的な対策はいまだにないのが現状だ。だから、ありとあらゆる手段が用いられている。古くから伝わる漢方薬や蚊帳の活用から、最先端の多剤併用療法に至るまで、あの手この手を駆使してマラリアを封じこめようというのである。制圧の決め手と期待されながらも一向にうまくいかない長年の難題、ワクチン開発に向けた研究も、日夜進められている。

 こうした援助は主に、サハラ砂漠以南のアフリカに散らばるマラリア流行の最も深刻な国々に注がれている。これらの国々がマラリアを克服できれば、地球規模の対策のお手本となるだろう。

 では、もし失敗したら?--この問いに、関係者は誰も答えたがらない。人類にとって絶望的な未来が待っているからだ。

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