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カルティエ=ブレッソン展 約450作品を大公開

東京国立近代美術館 主任研究員 増田玲氏

  • 木谷 節子

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2007年7月9日(月)

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20世紀を代表する写真家の1人、アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004、プロフィールは文末参照)。「決定的瞬間」という言葉とともに語られるこの写真家の大回顧展が、現在、東京国立近代美術館で開催されている(会期は8月12日まで)。最晩年のカルティエ=ブレッソン自身が企画・構成に関わり、写真作品はもちろん、本人が描いたドローイングや、ファミリー写真まで、約450点を公開しているこの展覧会は、彼の最後にして最大のまさに決定版的な展覧会だ。この企画展やアンリ・カルティエ=ブレッソンについて、担当学芸員の増田玲氏にうかがった。


アンリ・カルティエ=ブレッソンの「決定的瞬間」

 アンリ・カルティエ=ブレッソンといえば、まず思い浮かぶのが「決定的瞬間」という言葉だと思います。

アンリ・カルティエ=ブレッソン展の担当学芸員である東京国立近代美術館の増田玲さん (撮影:清水健)

アンリ・カルティエ=ブレッソン展の担当学芸員である東京国立近代美術館の増田玲さん (撮影:清水健)

 これは1952年、彼が初めて出版した写真集『逃げ去るイメージ(Images a la sauvette)』が、アメリカでも同時出版され、その表題として選ばれた言葉で、以後、この英語版の『決定的瞬間(The Decisive Moment)』がカルティエ=ブレッソンの代名詞のようになっていきました。

 現在この「決定的瞬間」という言葉は、たとえば「○○事件」とか「○○事故」とか、誰もが知っている重大な事件の、一番分かりやすい瞬間をとらえた写真などを説明する時などに、ごく普通に使われています。

 しかしカルティエ=ブレッソンの「決定的瞬間」は、むしろ「○○事件」などと名付けえない日常的な風景の中に、写真にした時に初めて見えてきた、美しい世界の一瞬の調和、というイメージが近いと思います。

フォトジャーナリストとしてのカルティエ=ブレッソン

 もともと画家を目指していたカルティエ=ブレッソンが写真を撮り始めたのは、世界をつかまえるための新しい表現手段として、カメラを手にしたことがきっかけでした。1930年代、彼は、メキシコなど様々な場所を旅して、見知らぬ土地で出合った様々な日常生活をとらえることに夢中になるのですが、その後、第2次世界大戦に突入すると、フランスでは「engagement(アンガージュマン)」、つまり芸術家も社会的な役割を果たさなければならない、という意識が共有されるようになります。特にカルティエ=ブレッソンは戦争中に捕虜になり、戦争末期には脱走も経験していますから、特にそうした意識を強く持ったのかも知れません。

 それで戦後はルポルタージュをやろうと、ロバート・キャパらと写真家集団「マグナム」を結成して、世界を撮影して回るんですね。例えばインドのガンジーの暗殺に居合わせて、今でいうスクープ写真といいますか、その葬儀の様子を記録する。また同時期に、中国で共産政権が国民党政権を打倒すれば、すかさず滞在中のビルマから中国に入って、激動の中国を撮影する。54年、西側の写真家として初めてソヴィエト連邦への入国を許可されたのも彼です。カルティエ=ブレッソンは、フォトジャーナリストとして、常に世界の大きな流れをとらえ、実に的確な場所にいて、歴史の一コマを切り取っていったのです。

 しかし、彼のジャーナリストとしての基本精神は、このように歴史的に誰もが重要だと認識できるものだけでなく、誰もが重要だとは思っていないところに写真を通じて何かを見つけていくことにあったと思います。この時期、カルティエ=ブレッソンは、アメリカとソヴィエトを、かなり力を入れて撮っています。しかし、これら2つの国ではむしろ日常的な暮らしの様子、たとえば街角にたたずんでいる人とか、地下鉄の中にいる人とか、そういう人を夢中になって撮っている。後に「決定的瞬間」という言葉があまりにも一人歩きして、カルティエ=ブレッソンが思っていた以上に一面的に語られていくのですが、これは本人にとっても誤算だったと思います。

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