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時代遅れの改正教育基本法 【前編】

  • 広田 照幸,斎藤 哲也

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2007年7月13日(金)

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【特命助手サイトーの前説】

 前回もたくさんのコメントをいただき、ありがとうございました。前後編合わせると、200件近くを頂戴しています。賛否いずれにせよ建設的な意見が多く、助手としてうれしいかぎりです。教員をとりまく現状については、今後もさまざまなテーマの中で、広田先生にお話しいただく予定です。教育再生会議や中央教育審議会の動向にも目を配りながら、準備を進めていますので、長い目でこの連載を見守っていただければと思います。

 さて今回は、昨年末に成立した改正教育基本法に焦点を当てています。というのも、マスコミの報道では、教育基本法改正の中身は説明するものの、「教育基本法が変わって、学校現場はどう変わるのか」という肝心な点についてのアナウンスは少ないように思えるからです。

 第1回目の「前説」でご紹介しましたように、広田先生は教育基本法改正反対論者です。どうも教育基本法の反対派は「軍国主義の復活だ!」とか「日本を 戦前に戻すつもりか」といった極端な反応を示しがちですが、広田先生の「反対論」はそれらと一線を画しています。広田流の「反対論」をお読みいただきながら、教育基本法改正は今後の教育にプラスになるのかどうか、皆様もお考えください。

 今回もたくさんのコメントをお待ちしております。

 昨年12月に、改正教育基本法が国会で成立しました。「豊かな情操と道徳心を培う」「我が国と郷土を愛し」といった道徳心や愛国心の話は、マスコミもよく報じていました。が、その他の中身についてはあまりアナウンスされませんでした。そもそも教育基本法がどういうものか、今回の改正によって学校現場がどう変わるのか、ピンとこない方のほうが多いと思います。

 でも、この法律改正は日本の教育のゆくえを大きく変えうる分水嶺でした。だから、もっと議論され、注目されるべきでした。今回は、この問題を少し説明して、これからわれわれが、何に気をつけるべきかを論じたいと思います。

基本法改正で何が変わったのか?

 まず、教育基本法の位置づけを簡単に説明しておきましょう。

 これはもともと準憲法的な性格を持っている法律でした。教育の現実とダイレクトに重なるというよりは、教育の制度をつくるときの基本的な枠組み、それから非常に高度に微妙な問題のときの法的な参照軸、司法上の参照軸とか、そういう部分として機能するものです。

 だから旧基本法の文章は、非常に理想主義的で抽象度も高かった。理想主義的であるがゆえに、現場の実態とズレていた部分はあります。多くの教員にとっても、教育基本法は「空気」のようなものと捉えられていて、日常的に意識するようなものではありませんでした。

 もう少し具体的に言うと、改正前の教育基本法は行政の在り方を定めた法律だったんです。

 「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」とか、「国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない」とか、行政を律するものとして条文が定められていました。

 それが今回の改正では、むしろ国民に対して在り方を指示するという形のものに変わった。これが非常に大きな違いですね。

 たとえば、改正教育基本法の第10条には、

父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって

 なんて文言が入っている。これは、父母や保護者を当事者として規定する、ということになります。

 第13条では、

学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする

 と、学校、家庭、地域の在り方を規定しています。つまり、行政=「国及び地方公共団体」以外の主語が、改正教育基本法には、あちこち入っているわけです。

「態度を養うこと」が意味するもの

 第2条の「教育の目標」では、教育の目標を定めることで、教育を受ける側の望ましい在り方を明確に決めています。少し長い引用になりますが、以下をお読みください。

(教育の目標)第二条
教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
 
一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
 
二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
 
三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
 
四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
 
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 まともなことを言っているじゃないか、とお感じの方も少なくないだろうと想像されます。ただ、ここでは目標の一般的な意味での適切さをめぐる判断は、いったん横に置きたいと思います。

 一読して、ちょっとくどいな、と感じる部分がありませんか?

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長