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世界のすべては数字で表せる?

『渋滞学』西成活裕著 新潮選書 1200円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2007年7月13日(金)

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『渋滞学』西成活祐著

『渋滞学』西成活裕著

 渋滞という言葉を最初に聞いたのはいつだろう。1960年代の初め頃、ラジオで聴いて、一体どんな言葉なんだろう、と不思議に思ったのを覚えている。渋滞というのは道路の混雑状況を表す言葉だ。いかにも道交省の役人が考え出しそうな晦渋な言葉だ。いまでは、ごく普通に「渋滞」という言葉は使われている。

 この「渋滞」を科学的(あるいは数学的)に考えてみたのが本書。渋滞は別に道路ではなくとも、どこでも日常的に起こっている。人混みに出れば、歩くのが渋滞する。インターネットでメールが送りにくくなるのも、携帯電話がかかりにくくなるのも渋滞の一種だ。

 人混みの渋滞に初めて科学の光を当てたのは、ル・ボンという人で、1895年に『群集心理』という本で、群集心理を分析して見せた。そのなかで「群衆」を定義して、「共通の関心や注意を引く対象に向かって特定の場所に集まった諸個人の一時的、偶発的な集合状態」だという。

 群衆は強大なエネルギーを持ち、衝動性、無批判性が高まり、知性の低下が見られる、と指摘している。これらの諸要素は危険ですらある。ある場所に行こうとする群衆が押し詰まって動けなくなり、それに後から来る群衆が折り重なれば、死者が出る。明石の花火大会を見ようとした群衆が、歩道橋上で大勢の死者を出した事件が記憶に新しい。

 たとえば地下街で大地震が起きたときなど、大群衆がどっと地上への出口に押し寄せるだろう。すると、出口でアーチ・アクションという現象が起こり、出口が人の壁で固定され、一人も通れなくなってしまう。ちょうど人の肩幅が、出口でアーチを形成し、アーチ橋が落ちないように、動きが取れなくなってしまう。

 このできてしまったアーチを崩す唯一の方法は寛容と譲り合いだという。するとアーチは崩れ、人の流れはスムーズに流れ始める。これは人間同士の基本的な道徳律ではないか。

 本書はこんな話題でいっぱい。啓発的で、おもしろい。

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