• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

“怒る技術”の集積、『裁判官の爆笑お言葉集』

~超エリートたちの口から出る泥臭い人生論

  • 石原 たきび

バックナンバー

2007年8月22日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

裁判官の爆笑お言葉集

裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝著、幻冬舎新書、720円(税抜き)

 テレビのニュース番組などで時々見かける法廷の様子。真ん中には黒い法服を着た裁判官が、ロボットのような無表情な顔つきで座っている。「アタマ良さそうだなあ」「上司だったらつき合いにくいだろうなあ」、そんな感想ぐらいしか浮かばないわけだが、いやいや、そうではなかったのだ。

 本書は、司法試験に挫折した著者が自身の傍聴体験をもとにまとめた「裁判官名語録集」。発売から3カ月余り経った現在、15刷、29万部。堂々たるベストセラーだ。あんまり面白かったので、書評としては異例のことながら著者に会って直接話を聞いてきた。そのときの模様は公判…ではなく後半で。

 「まえがき」にはこんなエピソードが載っている。2002年2月、東京地裁の刑事法廷。被告人席には、電車内のトラブルから43歳の男性を殺害した容疑で起訴された18歳の少年が2人。彼らは口々に「反省しています」と言うものの、その淡々とした口調は本心からとは思えない…。

 そこで、裁判官から出たセリフが「君たちは、さだまさしの『償い』という唄を聴いたことがあるだろうか」。続けて「この唄の、せめて歌詞だけでも読めば、なぜ君たちの反省の弁が、人の心を打たないか分かるだろう」。「償い」は“交通事故の加害者が被害者の奥さんに毎月欠かさずお金を郵送する”という曲。うわー、歌舞伎の舞台なら大向こうから「○○屋!」と掛け声がかかるシーンですよ。

「がんばりや~」「騙されたことにして…」

 ほかにも、自身の「いじめ体験」を告白して諭したり、被告人の手を握りながら「もうやったらあかんで。がんばりや」と励ましたり、「あなたの言葉を、だまされたことにして信用するから」と添えて温情判決を言い渡したり。本書には、人間味あふれる様々な「お言葉」が登場する。また、こぼれ話としては「計219回の公判で1度も同じネクタイを着けなかった」というオシャレ裁判官も。

 2006年から、法科大学院課程修了を受験資格とする新司法試験制度が始まった(旧来の司法試験も並行して行われるが2011年には廃止)。これにより、数パーセントだった合格率は格段に上がったが、いずれにしても狭き門であることに変わりはない。現在、日本における弁護士の数が約2万3000人なのに対し、裁判官は約3000人、検察官が約2000人。裁判官になるには、司法試験合格後の司法修習でも優秀な成績を収めなければならない。

 そんな超エリートたちの口から出る泥臭い名ゼリフ。しかし、「裁判官の評価は『判決や和解を出した数』に集約されています。長々と30分も説諭をするのだったら、その時間で薬物事件の1件も済ませたほうが出世に近づく」(本書あとがきより)というウラ事情もあるのに、彼らは限られた特殊なヒトたちなんだろうか。

 著者の長嶺さん、どうなんでしょう?

コメント1件コメント/レビュー

法曹界の人間から聞いた話。東京地検では、民事、刑事ともいくつかの部がある。そのため、慣れた原告は、訴状を複数作成し、受理された時点で、相性のよい裁判官のものを残して取り下げるのだそうだ。それだけ、裁判官によって判決の内容が異なるからである。 そうした背景を聞いていたので、この書籍の書評には「やはりそうか」と思った。(2007/08/23)

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

法曹界の人間から聞いた話。東京地検では、民事、刑事ともいくつかの部がある。そのため、慣れた原告は、訴状を複数作成し、受理された時点で、相性のよい裁判官のものを残して取り下げるのだそうだ。それだけ、裁判官によって判決の内容が異なるからである。 そうした背景を聞いていたので、この書籍の書評には「やはりそうか」と思った。(2007/08/23)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長