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第8回 修士論文のテーマは「似絵」

博士課程に進んだ年は大阪万博、名品に数多く出合う

  • 宮島 新一

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2007年7月20日(金)

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 そろそろ修士論文をまとめる時期が迫ってきた。「白描画」に関連する大和絵ということで、「似絵(にせえ)」をテーマ選んだ。「似絵」のもっとも代表的な作品は神護寺に伝わる「伝源頼朝像」である。実を言うとこの段階ではより迫真的な肖像画である禅僧の「頂相」に魅力を感じていた。まだ、「写実性」という判断基準から逃れることができていなかったことが分かる。それにもかかわらず「似絵」を選んだのは、専門分野を持とうとする不純な動機があったのだろう。その分だけ気分が乗らなかった。

食べ物のおいしさが分からなければ美術は分からない

《伝源頼朝像》 鎌倉時代 国宝 神護寺蔵

《伝源頼朝像》 鎌倉時代 国宝 神護寺蔵

 修士課程の指導教授は教養部から移ってこられた上野教授であった。先生はインド美術の専門家だったので、学外の研究者に指導を請うことにした。その1人が今もお元気な白畑よしさんで、自宅におうかがいすると美術の話もそこそこに、食事とウイスキーが出された。「食べ物のおいしさが分からなければ美術は分からない」という言葉だけを覚えて、飲み過ぎて反吐(へど)をもどしながら転がるようにして帰ったことを思い出す。

 ところが、これも例のコレクターから聞かされたことだが、上野先生は戦前に肖像画の研究をしていたというのである。学会か何かで不快な思いをさせられて日本美術の研究を封印した、という秘話を教えてくれた。気まずいのも無理はない。先生との会話で覚えているのは、「大学に就職する気はないのか」と聞かれた時の返事が気にさわったのだろう、「俺の職業を馬鹿にするのか」と叱(しか)られたことである。どうも私には先輩を怒らせる特技があるらしい。のちに大江健三郎氏が「バルネラビリティー」という言葉を使っているのを読んで、これかと思った。「攻撃誘発性」と訳すらしい。

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