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『年金問題の正しい考え方』盛山和夫著(評:谷津晶子)
~年金は得か、損か

中公新書、860円(税抜き)

  • 谷津 晶子

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2007年7月24日(火)

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『年金問題の正しい考え方 福祉国家は持続可能か』

年金問題の正しい考え方 福祉国家は持続可能か』 盛山和夫著、中公新書、860円(税抜き)

評者の読了時間4時間25分

 社会保険庁の杜撰な年金記録管理に腹を立てても年金制度の問題解決にはならず、“ワイドショー的年金劇場”では、制度の仕組みも問題点も今後の提案もぼんやりとしたままである。したがって、不安ばかりが膨らみ、年金制度が複雑であることも相まって、ますます不信感がつのることとなる。

 そこで、誰もが真っ先に浮かべる疑問は「年金は得か、損か」だ。本書は、この疑問に対して「個人ベースでは国民年金も厚生年金も得」と提示することで年金迷路の道筋を照らし、持続可能な年金制度の再構築という出口へと導いていく。ほぼ全編を通して、数字と計算式、表と図を用い、具体的なシミュレーションを試みながら、要所に結論をまとめるその先導ぶりは、明確で迷いがない。

 では、なぜ年金制度は迷走したのか。一般的には、少子高齢化や賦課方式による世代間扶養が犯人扱いされるが、著者は違うという。年金問題を深刻化させたのは、1973年の改正だ。すなわち、現役世代の賃金上昇に合わせて年金支給額の計算の基礎となる受給者の賃金を再評価する「賃金再評価制」と、物価上昇に合わせて支給額を調整する「物価スライド制」の導入である。著者は「福祉元年」として知られるこの年を「大盤振る舞いスキーム」と断ずる。

高い給付を必死で維持しようとして、大混乱に

 当時の保険料率は男性で7.6%(2004年改正により2017年以降18.6%に固定)、厚生年金の報酬比例部分の給付乗率は1000分の10(現在は1000分の5.481)と、拠出に対して著しく高い給付を約束してしまったのである。この高い支給水準をなるべく維持しようとしたために、年金制度はその後も改正を繰り返し、つぎはぎ状態となったわけだ。

 続いて、「100年安心」を謳い文句にした2004年改正の検証である。本書は、「マクロ経済スライド調整率」(現役世代の減少、平均余命の延びを年金支給額に反映させ、支給額の増加を自動的に抑制する仕組み)を導入したこの改正に一定の評価を与えながらも、抜本的改革にはなっていないと指摘する。

 つまり、2004年改正によっても合計特殊出生率が中位推計の1.37を下回れば(2006年推計は1.26)、長期にわたる年金収支の安定は見込めない。「せいぜい30年安心」程度であり、経済成長や出生率の上昇という希望的予測のもとでの年金制度は間違いだと苦言を呈する。

 さらに、持続可能性と並んで重要な公平性の問題へと移る。

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