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『日本人の選択 総選挙の戦後史』林信吾・葛岡智恭著(評:竹内一晴)
~みんなの一票は案外正しい

平凡社新書、780円(税抜き)

  • 竹内 一晴

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2007年7月26日(木)

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『日本人の選択 総選挙の戦後史』

日本人の選択 総選挙の戦後史』 林信吾 葛岡智恭 著、平凡社新書、780円(税抜き)

評者の読了時間4時間30分

 「日本の有権者は断じて愚かではなかった」と、著者は断言する。本書は「総選挙」を軸に、与野党の政権を巡る政治闘争の歴史を著述したものだ。1950年代から2000年代まで、各年代を象徴する総選挙を挙げ、絶対得票率、獲得議席数のデータを付し解説する。そして著者は、その時々の国民の選択は、胎動しつつある次代への変化を正確に見極めたものであったと考えるのだ。

 1953年、当時の吉田茂首相の衆院予算委員会での不規則発言が発端となった、世に言う「バカヤロー解散」による第26回総選挙。当時の国民は、この解散総選挙の争点が首相の暴言などになく、日本の再軍備化であることを「見抜いていた」と著者は分析する。

 このとき、自由党の鳩山一郎は石橋湛山、河野一郎らと「分派自由党」を結成し、「憲法改正・再軍備」を公約として選挙に臨んだ。しかし結果は、鳩山自由党はまったく伸びず、逆に「青年よ、銃をとるな。夫人よ、夫や子供を戦場に送るな」のスローガンを掲げた左派社会党が躍進。憲法9条を楯とし再軍備に消極的な吉田自由党も、減らした議席は僅少だった。つまり、「軽軍備・経済重視路線」が、冷戦終結までの戦後日本の方向性として国民によってまさしく「選択」されたというわけだ。

角さんは好きでも、政策は別

 選挙における国民の判断力が明晰であった例をもうひとつ挙げておこう。戦後もっとも個性的で、国民に人気があった総理大臣といえば田中角栄だ。だが、その田中政権下で行われた第33回総選挙(1972年)で、自民党は過半数こそ確保したものの、公認候補者の当選者数が271名と結党以来最低となり、大きく後退した。逆に共産党は14議席から40議席へと大躍進を遂げた。田中人気がなぜ議席数に結びつかなかったのか。

 著者は、この自民党の敗北はその経済政策に対する「有権者からの強い警告」だったと解釈する。事実、当時の高度経済成長モデルの政策はのちにインフレや環境破壊を招いたわけだが、すでに国民は1973年の石油ショックに先んじて、この政策が限界に達しつつあることを皮膚で感じ取っていた。政権の顔がいかに人気者といえど、将来の自らの生活を左右する選挙の場面で、国民はきっちりと現実的な審判を下してきたことが本書からよく読み取れる。

 最終章では2005年に小泉純一郎首相が行った「郵政解散」を俎上に載せる。

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