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『偽装請負 格差社会の労働現場』 朝日新聞特別報道チーム著(評:福地 誠)
~コムスン問題の遠因

朝日新書、700円(税抜き)

2007年7月27日(金)

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『偽装請負 格差社会の労働現場』

偽装請負 格差社会の労働現場』 朝日新聞特別報道チーム著、朝日新書、700円(税抜き)

評者の読了時間2時間21分

 規制緩和が進むことで急速に膨張した市場では、未成熟ゆえの問題も起きやすい。そんな新興市場を行政がろくにチェックせず、トラブル発生後も黙認していたとしたら…。

 この10年、大きく揺れ動いた雇用・労働という領域で、そんな恐れが現実となった。それが「偽装請負」だ。

 偽装請負とは、業務の実態は「派遣」でありながら、「請負」であると偽装することだ。「派遣」は人材を供給するもので、「請負」は業務の委託を受けるもの。具体的には、業務を委託された請負会社の社員が現場指揮を執るなら正しい「請負」だが、人材だけ派遣して現場指揮をクライアント社員が執るなら「偽装請負」となる。

キヤノン、松下、トヨタが俎上に

 2004年3月まで、労働者の使い捨てを防ぐため製造業では人材派遣が禁止されていた。しかし、不況のなかで多くの企業は偽装請負に手を染めていく。雇用調整、安全管理、社会保険などの面で、企業にとってじつに都合のいい形態なのだ。歯止めとなるべき行政も、雇用が空洞化するよりマシだろうと黙認していた。

 状況を大きく変えたのは、2006年7月から始まった朝日新聞の「反偽装請負キャンペーン」だった。一面トップでキヤノン、松下電器産業、トヨタ自動車などをつぎつぎと名指しで告発し、行政もようやく重い腰を上げることになった。その特集をまとめたのが本書である。

 読ませるのはキヤノンの章だ。御手洗冨士夫会長は経団連会長も兼ね、政府の経済財政諮問会議の民間議員でもあった。公の場では終身雇用制の維持を主張し、家族的経営の利点を説いた御手洗氏だが、裏では積極的に派遣や請負を活用していた。かつていた期間工はすべて派遣や請負に切り替えられ、請負で10年以上働いている者すらいたのである。にもかかわらず、度重なる行政からの勧告にも態度を改めようとせず、マスコミからの追及に対しても、いまの法制度は現実的ではないと平然と主張した。

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