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『日本人の足を速くする』 為末大著(評:朝山実)
~文系も「脳」で走れ!

新潮新書、680円(税抜き)

2007年7月31日(火)

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『日本人の足を速くする』

日本人の足を速くする』 為末大著、新潮新書、680円(税抜き)

評者の読了時間3時間00分

 脳で走れ、と誘いかける。

 姿勢の取り方ひとつで、日本人の誰もが平均0.3秒は速く走れるようになる、と断言する。

 著者は、1000分の1秒の単位で「より速く」を目指してきた、日本ハードル界の第一人者。先行逃げ切り、ロケット・ダッシュの勇姿から、付いた異名は「サムライ・ハードラー」。世界陸上のトラック競技で日本人初、2つの銅メダルを獲得。高さ91.4センチ、35メートル間隔で並ぶ、10台のハードルを飛び越えていく400メートルハードル走の現役ランナーだ。

 引退した元選手にありがちな精神論は、一切なし。文化系の読者であっても、トラックに立ち、いまにも駆け出したくなる、そんな気分にさせてくれる本だ。

 誰もが速くなる、と太鼓判を押す一方で、日本人はもともと足の遅い民族だという。そういえば、オリンピックや世界選手権などの短距離走で決勝レースに出場するのは、ほとんどが黒人選手。なぜ、日本人は同じ土俵に立つことすら難しいのか。

 「できることなら、アフロアメリカンに生まれたかった。世界一を狙える体に生まれたかった」と、著者も思ったそうだ。

 しかし、もって生まれた身体はどうにもならない。ならば、日本人ならではの体型を生かすことはできないか、と頭のスイッチを切り替えたことが成功をもたらした。

 もともと著者がハードル競技を選んだのは、中学では短距離走の「神童」と呼ばれていたけれど、高校生になってから伸び悩んでしまったから。こっぴどく落ち込んだのだと思う。そのとき、自分の身体に合うものを探した。それがハードルとの出合いだった。

日本人に合った走り方は「コケつつ走る」

 始めてみると、外国人選手の長い足が、ハードル走にはデメリットとなることを知る。一方で、損だと思っていた日本人の体型がメリットだということも。そうなれば、がぜんやる気は増すし、研究にも熱が入ろうというものだ。

 ユニークなのは、欧米流の筋力アップに疑問を呈していることだ。合理的ではあっても、それらは彼らの身体に合わせたものであり、必ずしも日本人に向いているとは限らない。筋肉の付け方によってはマイナスに働くこともある。「みぞおちから腿までのエリアを除けば、筋肉などないほうが手足を振り回しやすく、走りやすくなります」とさえいう。

 ほかにも、剣道の素振りや相撲の四股(シコ)をトレーニング法として薦める一方で、スクワットや上り坂ダッシュは、根性を鍛えたり達成感はあっても、「速くなる」ことには向いていないなど、一つひとつが、これまでの「常識」を書き換えるものだ。

 いちばん驚かされるのは、誰でもすぐにスピードアップができるコツとしてあげる、「コケない走法」である。

 「自然に真っ直ぐ立って、ほうきが倒れるように体全体を前に倒してください」

 そうすると、ひとりでに足が前に出る。この動作を繰り返すのが「走る」ということで、倒れこんでいく力を利用して走るのが、日本人の体型にいちばん合った走法だという。

 つまり、「コケそうになる」のを、踏ん張りなさい。さすれば、速く走れる。

 しかし、世界のトップランナーたちを見ると、胸を反り返すようにして走るのがふつうだ。

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