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第9回 「夏冬山水図」の美しさに立ちすくむ

雪村の水墨画、奔放さと墨色のきらめきに心打たれる

  • 宮島 新一

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2007年8月3日(金)

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 昭和46(1971)年、47(1972)年に行った展覧会で抱いた感想はいたって冷やかなもので、「近世異端の芸術展」に出ていた長沢蘆雪の「海浜奇勝図」の大胆な構図には驚いたものの、ほかには若冲について「ポスターのようなものだ」という印象をもったぐらいであった。

 それよりも、この時期になってやっと日本の水墨画の魅力に目覚めたことが大きかった。昭和46年に「生誕五百五十年記念 雪舟展」が読売新聞大阪本社の主催のもとにデパート(店名を失念)で開かれたが、あいかわらず雪舟に対しては「がさつ」だとか、中国の水墨画のような「気高さ」に欠けるといった、低い評価しか持てなかった。

水墨画の魅力は墨色の輝きと自由な筆づかい

 そのかわりに、雪村というきわめて魅力的な水墨画家がいることを知った。同じ年に大和文華館で「雪村名品展」が開かれたのがきっかけとも言えるが、それ以前に京都国立博物館の平常展示において「夏冬山水図」の美しさに立ちすくんだのが最初の経験だった。

雪村周継 《夏冬山水図》 2幅 紙本墨画淡彩 重要文化財 京都国立博物館蔵雪村周継 《夏冬山水図》 2幅 紙本墨画淡彩 重要文化財 京都国立博物館蔵

雪村周継 《夏冬山水図》 2幅 紙本墨画淡彩 重要文化財 京都国立博物館蔵


 雪舟とちがって雪村をご存じの方は少ないと思う。戦国末期の人で、常陸の戦国大名、佐竹氏の一族として生まれたが、禅僧となってほとんどを関東で過ごしている。一時期には福島の三春にも住んでいたこともある。三春は名前にふさわしく桜の名所として知られているが、雪村が住んでいた小庵跡の「雪村屋敷」にも滝桜ほどではないが立派な桜がある。

 水墨画の魅力は何よりも墨色の輝きと、自由な筆づかいにある。水墨画の多くは型にはまっているが、雪村だけは破格で奔放である。米国に名品がいくつか流出しているのはそのためだろう。だが、ただ、奔放というだけならば、江戸時代の画家のほうがよほど勝っている。雪村の場合はそれに加えて墨色が、まさに水が光を反射しているかのようにきらめいているのである。「夏冬山水図」はむしろ端正な構図をとっており、夏の朝の清爽な空気と、夜の雪が月下にきらめく表現がたとえようもなく美しい。

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