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がむしゃらにやるだけではだめ

自分自身が本当に楽しまないと、いい結果は生まれません

  • 伊熊 よし子

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2007年8月7日(火)

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 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・クラリネット奏者として、またソリストとして数多くのオーケストラと共演し、室内楽のジャンルでも活躍しているペーター・シュミードル氏が7月に来日した。彼は現在、20世紀を代表する音楽家であるレナード・バーンスタイン(1918-90)によって1990年札幌に創設されたPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)の芸術主幹を務めている。

 PMFは、プロの音楽家を目指す若手演奏家(18歳から29歳)がオーケストラを編成しながら、ひと夏、様々な実力派の音楽家から指導を受け、研鑽(けんさん)を積み、最後にコンサートを行うという新しい視点を持つ国際教育音楽祭。世界各国から参加するアカデミー生たちは、厳しいオーディションを勝ち抜いた俊英で、卒業生はその後オーケストラの楽員になったり、ソリストとして活躍するようになったりと様々。バーンスタインが最晩年に、「残ったエネルギーと神が与えてくれた時間をすべて教育に捧げたい」と考え、情熱を傾けた音楽祭の基本理念が、いま確かな形となって実を結んでいる。

若手を育てるためには、自分も勉強しなければならない

今年でPMFには17回目の参加となるPMF芸術主幹のペーター・シュミードル氏

今年でPMFには17回目の参加となるPMF芸術主幹のペーター・シュミードル氏

 「私がPMFに初めて参加したのは91年のこと。実は、前年にバーンスタインからこういう音楽祭を作るからウィーン・フィルのメンバーも参加してくれないか、と誘われたんですが、その年はスケジュールが入っていてダメだったんです。それで第2回からウィーン・フィルの有志が参加し、教育に演奏にと様々な形で加わるようになり、やがて私は責任あるポジションを任されるようになったという次第です。今では指揮者やソリストを選んだり、プログラムを決めたり、運営面や経済面などあらゆる面で仕事もこなしています。私はあくまでもクラリネット奏者で、演奏は人生の中心となる部分、いわゆる核となるもので、その他はその核から広がった仕事と考えています。バーンスタインはとても広い視野の持ち主で、常に新しいことにチャレンジしていました。私もそれを見習いたいと思い、こういう仕事を引き受けているのです」

 シュミードル氏は、今でもPMFの第1回に参加できなかったことを残念がっている。なぜなら、バーンスタインは音楽祭の実現という夢の舞台を作り上げた直後、90年の秋に72歳で急逝してしまったからだ。

 「ですから、私は彼の遺志を継ぐ意味でも、PMFをより意義深いものにしなくては、と考えています。若手を育てるためには、自分も勉強をしなければなりません。本物の音楽を教えるためには、自分が最高の演奏を行わなければ、だれも耳を貸さない。ここが人生の中でもっとも大切なところだと思います。私はいまでも一日中クラリネットを吹いているので、みんなに唖然とされますが、これは生涯を賭けた仕事。手抜きをしたら、すぐに聴衆にばれてしまいます。演奏は正直ですからね。この年になっても前向きでいられるのは、ひとえに母の教えのおかげです」

あいまいな表現をする生徒は演奏もあいまい

 シュミードル氏はオーストリア人だが、生まれはチェコのオルミュッツ。祖父も父親もウィーン・フィルのソロ・クラリネット奏者で、家にはいつも音楽が流れていた。

 「でも、父は私が生後11カ月の時に、祖父は4歳の時に亡くなりましたので、直接その演奏を聴いた記憶はありません。ただし、母が私の音楽に寄せる熱い思いを汲み取って、最高の教育の場を与えてくれました。よく、子供が何か楽器を習いたいと言っても、親がクラシック音楽に興味がないと無視されてしまいがちですが、親は子供の才能に早く気づき、興味を示すことに対してそれを伸ばしてあげる手助けをし、子供のしていることに関心を持つべきだと思います。私の母は人生を楽しみ、何でも一生懸命に取り組むこと、いろんなことに興味を抱く人間になることを教えてくれました。そのおかげで、子供時代からずっと練習、練習の日々を送ってきましたが、決してクラリネットに飽きることはありません。もちろんコンピューターやクルマの修理、家の改装などにも人一倍興味があり、それらもプロ並みにこなしたいと思って取り組んでいますよ(笑)」

 エネルギッシュで雄弁で疲れを知らないシュミードル氏。彼のところには、毎日のようにコンピューターやクルマの修理を依頼する人がやってくる。

 「これは日本の方にも言えることですが、人は一生懸命したことでも、たいしたことはしていなくて、などと謙遜する。私は自分が精一杯力を出し切ってやり遂げたことは、それがどんなに小さなことでもしっかり主張します。きちんとやりましたよ、と。たいしたことをしていないのなら、もっと努力して誇れるように仕上げればいい。自慢したり、いい気になっていると思われるのを避けようとしているのでしょうが、そういう態度は、その人の生き方すべてに表れてしまうものです。よく、あいまいな表現をする生徒がきますが、そういう人は演奏もあいまい、何も伝わってきません。ビジネスの世界では、目立ちすぎたり威張ったりするのはタブーでしょうが、確固たる主張は必要ではないでしょうか。言い方1つ、言葉の選び方1つで、相手に不快な思いを抱かせないようにすればいいのです。それによってコミュニケーションが円滑になると思うのですが」

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