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お手本のNZでは国営企業が復活~『民営化で誰が得をするのか 国際比較で考える』
石井陽一著(評:荻野進介)

平凡社新書、700円(税抜き)

  • 荻野 進介

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2007年8月9日(木)

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『民営化で誰が得をするのか 国際比較で考える』

民営化で誰が得をするのか 国際比較で考える』 石井陽一著、平凡社新書、700円(税抜き)

評者の読了時間1時間35分

 いつの時代も世の中には誰もが表立って反対できない“錦の御旗”が存在する。今の時代、その“御旗”のひとつが「民営化」だろう。

 一昨年9月、小泉前首相が乾坤一擲の勝負に出、前代未聞の勝利に終わった、いわゆる郵政民営化一点選挙が記憶に新しいが、最近は「社会保険庁は民営化して一から出直せ」という声もかまびすしい。

 本書は、民営化とは何か、なぜ必要なのか、そのメリットならびにデメリットは、といった問題を、世界の実例をひもときながら解説した入門書である。入門書といっても、ぴりりと辛い“わさび”が随所に練り込まれている。

 著者はまず、一口に民営化といっても、動機や事情はさまざまであり、手法も千差万別であることを示す。例えば手法ひとつ取っても、直接売却型、株式公開型、経営陣や従業員に売却するMBO(Management Buy-out)型といった「所有移転型」と、一定期間の運営を民間に委託する「コンセッション型」の2つがある。日本では後者の形の民営化の例はまだ少なく、所有移転型のうち株式公開型が民営化の典型と見られている。

国鉄民営化は「偽装破綻」?

 続いて日本の民営化の歴史を振り返る。俎上に載せるのは、直近の郵政と道路公団であり、さらには国鉄、電電公社、専売公社といった1980年代の事例である。このうち特に、郵政と道路公団、それに国鉄の民営化に厳しい目を向ける。

 郵政と道路公団の民営化がなぜ問題なのかといえば、どちらも「なぜ民営化が必要なのか」という理念が不明確なまま、「構造改革」という美辞麗句にくるまれ、強引な政治の力で民営化が進行しているからだ。

 国鉄民営化については、主導者である中曽根元首相が、本来の目的は国労や総評、さらには最大野党の社会党つぶしだったことをマスコミに明かしており、動機が不純であること、もともと国鉄の経営破綻は資産価値を低めに評価した偽装破綻であった疑いもあることなどを指摘し、かなり批判的である。

 そして、ここからがこの新書の真骨頂である。イギリス、ニュージーランド、ドイツといった日本が民営化のお手本としてきた国から、米国、フランス、スペイン、さらには東欧各国、ロシア、中国、ラテンアメリカ諸国まで、世界18カ国の民営化の実情をコンパクトに紹介していく。

 例えば、郵政民営化の模範とされ、日本が真っ先に学ぶべき国とされてきたニュージーランドである。

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