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「公立」が生む新たな格差~『塾不要 親子で挑んだ公立中高一貫校受験』
鈴木亮著(評:福地 誠)

ディスカヴァー携書、1000円(税抜き)

2007年8月10日(金)

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『塾不要 親子で挑んだ公立中高一貫校受験』

塾不要 親子で挑んだ公立中高一貫校受験』 鈴木亮著、ディスカヴァー携書、1000円(税抜き)

評者の読了時間1時間54分

 これからは“公立の時代”になる。それが本書を読み終えてまず感じたことだった。

 本書は日本経済新聞記者による公立中高一貫校への合格体験記だ。単なる個人的な体験にとどまらず、今を生きる親として“教育に何を求めるか”という判断が詰まっている。公立中高一貫校の実情を知るには最上の一冊だろう。

 公立中高一貫校とは、急速に増えつつある新タイプの公立だ。以前は中高一貫といったら私立の専売特許だったが、1999年から公立の中高一貫校が全国に続々と作られている。首都圏ではとくに人気が高く、東京都では現在開校中の5校の倍率が7~11倍、埼玉県の浦和中学は25倍、千葉県の稲毛中学は20倍だ(2007年)。

 これまでは完全に“私立の時代”だった。過去40年間、公立中学から公立高校へ行くコースは着々と大学進学実績を落とし、それが父兄の評価となっていった。こと首都圏に限っては、子どもの大学進学を真剣に考えるなら、中学受験させて私立中学に行かせるのが常識となっている。

 だが、私立コースが全幅の信頼を寄せられているかというと、それは違う。学費がかかるだけでなく、やたら細かい知識を大量に詰め込まねばならず、受験勉強が苛酷すぎる。公立中学を避けるため、という消極的私立派がむしろ多数派かもしれない。

 そんな状況に切り込んでいったのが昨今の教育改革だ。“公立復権”を掲げる学校は、進学実績を上げようというものが多かったが、中には“真の学び”を追究しようという素晴らしい学校も生まれている。その一例が、本書で著者の長男と次男が受検し入学した九段中等教育学校なのである。

どこがそんなに素晴らしいのか?

 九段中学は、授業時間数は一般的な公立中学よりはるかに多く、土曜日には塾講師を招いての講習もある。英語はとくに充実しており、早朝と放課後に外国人による課外授業がある。中1の総合学習では、NTT、ハウス食品、帝国ホテル、旭化成、日本経済新聞社などの企業を毎週のように訪問する。そこで、担当者と1年にわたって議論を重ね、業界の未来像を考察し、新製品を提案する。

 何よりも注目すべきは通常の授業だろう。父兄でなくとも授業参観はいつでもOK。前校長による「教員にも授業にも絶対の自信を持っている。思う存分評価してほしい。いい意見があったらどんどんフィードバックしていく」という発言こそ、すべてを表していよう。

 さて、これから“公立の時代”を迎えるとはどういうことか。

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