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残業帰りの夜空に~『カラー版 すばる望遠鏡の宇宙 ハワイからの挑戦』
海部宣男著、宮下曉彦写真(評:漆原次郎)

岩波新書、1000円(税別)

  • 漆原 次郎

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2007年8月22日(水)

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『カラー版 すばる望遠鏡の宇宙 ハワイからの挑戦』

カラー版 すばる望遠鏡の宇宙 ハワイからの挑戦』 海部宣男著、宮下曉彦写真、岩波新書、1000円(税別)

評者の読了時間3時間10分

 ハワイ島、マウナ・ロア山と肩を並べるマウナ・ケア山の頂、標高4205メートルの地で、「すばる望遠鏡」は宇宙を捉えている。国立天文台が1991年から8年の歳月をかけて建設した天体望遠鏡だ。

 天体が発する電波や光などの“波”を捕まえるのが天体望遠鏡の基本的なしくみ。すばる望遠鏡は、可視光(目で見える光の波)と赤外線(可視光の帯域の外側にある目では見えない波)を利用するものとしては、日本初の大型天体望遠鏡となる。世界中の研究者からも注目を集める、高精度の観測装置を多く備えた天体望遠鏡のトップランナーの1つだ。

 本書は、新書に特有のクリーム色の用紙ではなく、白地で光沢ある用紙が使われている。表情豊かな宇宙の写真を中心に、およそ130点もの図版を美しく見せるためだ。そして、一つひとつの図に、すばる望遠鏡の建設と観測を指揮した著者の解説が加えられる。

 『ハッブル望遠鏡が見た宇宙』およびその続編で、宇宙の美しさを味わわせてくれた岩波新書のカラー版。本書もその流れを汲む「すばる編」なので、前作までのカラー版が好きだった人は安心して読めるだろう。眺めれば宇宙の美に浸れ、読めば宇宙の深遠さを味わえる、読者を魅する仕上がりとなっている。

用紙にこだわり、美しい図版を掲載

 図版の見所を紹介するならば、例えば、われわれの住む銀河のお隣にあるアンドロメダ銀河。すばる望遠鏡がファーストライト(初観察)で捉えた宇宙の姿の1つだ。天体には、可視光を観測できる散光星雲と、光を発せず文字どおり黒い闇である暗黒星雲がある。

「宇宙の時間スケールで見るなら散光星雲は、美しく咲いては星を残して散ってゆく、宇宙の花なのである」という解説を読みつつページをめくると、目に飛び込んでくるのは無数の星々。宇宙という名の漆黒のカンバスに、星の砂と真珠をまき散らしたかのようだ。

 ページをめくれば、次の写真ははくちょう座の散光星雲。星雲の真ん中にくびれがあり、「8」の字の様に見えるため、「双極星雲」の異名をもつ。1頭の蝶が青い翅を広げ、星の煌く夜空を飛んでいく姿を思い浮かべてしまう。偶然が作り上げたように思えるこのくびれ形も、「濃い暗黒星雲の帯が散光星雲の中央を横ぎっている」ためであると、物の理があることを著者は解き明かしてくれる。

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