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美術が分からないのは当たり前

『名画の言い分』で美術の“読み方”に開眼する

  • 鶴岡 弘之

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2007年8月10日(金)

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『名画の言い分』の著者、木村泰司氏は唱える。ビジネスパーソンこそ美術史の知識を身につけるべきだと。

自分には「感性」がないからと言って尻込みする必要はない。木村氏は、美術は感性で理解するものではないと言う。

政治、経済、歴史などの知識を総動員する、西洋美術の本当の楽しみ方とは。

(聞き手は日経ビジネスオンライン 鶴岡弘之)

──「美術の見方が分からない」という人は数多くいます。どうすれば分かるようになるのでしょうか。

図版

『名画の言い分 ~数百年の時を超えて、今、解き明かされる「秘められたメッセージ」~』
木村泰司著、集英社、定価2286円(税抜き)

木村 美術作品を鑑賞する際に、「自分の感性で、自由に見ればいい」と言う人がいます。自分の好き嫌いを語るだけならば、それでもいいかもしれません。でも、もしも皆さんが欧米の大企業のトップ層や上流階級の人たちと会い、美術の話をするような機会があったら、自分の感性だけで美術を語るのはやめた方が賢明です。

 西洋美術とは、古代ギリシア以来の極めて理性的な文明の中で生まれてきたのです。日本人が自分の感性で、自分たちとは全く違う文明、文化を理解し、語ろうというのは、無理なことではないでしょうか。

 美術は決して感性だけで理解できるものではないのです。そもそも美術とは「見る」ものではなく、「読む」ものだからです。作品に込められた背景や物語を理解してこそ、その作品を味わい、楽しむことができるのです。

 多くの人にとって、西洋美術が分からないのは当たり前です。美術史を学んでいないのですから。欧米人だって、美術史を学ばなければ、美術は分かりません。この本では、西洋とは文明、文化、生活様式が全く違う日本人が西洋美術を楽しむための、必要最低限の知識を解説しました。

──政治や経済、宗教など、美術作品が作られた時代の社会情勢について、念入りに解説していますね。

図版

『名画の言い分』の著者、木村泰司氏
(写真:山西英二)

木村 一般的に西洋美術史の解説書は、ルネサンス美術の次にバロックがあって、そしてロココがあってというように“様式”ごとに美術史の流れを説明しています。でも、この本では、あえてそういう書き方はしませんでした。様式中心の解説は、既に世の中に数多くある教科書に任せておけばいいし、この本では、何よりも各時代のエッセンスを伝えたかったのです。

 理解していただきたいのは、美術作品は、それが作られた時代の政治・経済や社会情勢と密接なつながりがあるということです。そうしたバックグラウンドを知らなければ、作品を理解することはできません。

 例を挙げましょう。17世紀のオランダでは、静物画や風景画、日常のワンシーンを描いた風俗画などが盛んに描かれるようになりました。なぜ、そうした絵が登場し、人々に受け入れられたのか。それは当時の社会情勢を抜きにしては語れません。

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