• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

月と遊星、太陽、星々を眺めてみれば

『誰も読まなかったコペルニクス 科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険』 オーエン・ギンガリッチ著 早川書房刊 2300円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

バックナンバー

2007年8月10日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

『誰も読まなかったコペルニクス 科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険』 オーエン・ギンガリッチ著

『誰も読まなかったコペルニクス 科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険』 オーエン・ギンガリッチ著

 アルキメデス、プトレマイオス以来、微動だにしない地球の周りを、すべての天体が回っているという天動説は何の疑いもなく受け容れられてきた。ところが、ヨーロッパが宗教改革の動乱に揺れる17世紀になって、それまで遊星と呼ばれていた火星や木星、土星、金星など太陽系の惑星の動きを精密に観測する男たちが現れた。

 観測結果からの類推や意味を押し進めた場合、地球、太陽も含めてすべてが回転運動をしていると考えた方が、観測結果にぴたりと合うことが次第に分かってきた。

 コペルニクスはその推理の結果を1冊の本にまとめた。『天球の回転について』という本は、ドイツのニュルンベルクの印刷業者から製本しないままの一束が、ポーランドの最北地で死の床についているコペルニクスの元にかろうじて届けられた。世界の意味を変え、その後の天文学の扉を開くことになる本が、遂に人類のものとなったのだ。

 不動の地球という太古からの考え方は根本から揺さぶられ、消滅する運命にあった。
このときの初版は600部だった。当時は刷り版のまま、届けられ、製本は寄贈を受けた人物が、自分の趣向を凝らして本にしていた。

 かくして、コペルニクスの『天球の回転について』は600冊の書籍となり、各地の修道院や図書館に散らばっていった。

 ギンガリッチはあるとき『天球の回転について』の初版本に出くわす。その本の余白部分にはぎっしりと書き込みがあった。誰かがこの本を徹底的に研究した証拠である。そのときからギンガリッチはヨーロッパ中に広まった600冊の『天球の回転について』の初版本を探索し見つけだし、余白に書かれたメモを集め始めた。

 本書のタイトル『誰も読まなかった』というのは強烈なアイロニーである。アーサー・ケストラーという人物が、初期天文学について書いた歴史書(ベストセラーになった)の中で、コペルニクスの本なんか誰も読まなかった、といったことへの反論である。

 ギンガリッチの書誌探検の結果、コペルニクスの『天球の回転について』のすべては詳細に読み解かれ研究され、余白の書き込みの中から、まったく新しい天文学ができあがったことが証明された。ギンガリッチの書誌探検は、ドラマティックであり、読んでいてはらはらさせられる。

コメント0

「書物漂流」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官