「「生涯現役」という生き方」

「人を裏切らず、自ら働きかける」ことで人生を豊かに

西川右近(にしかわ うこん) ―― 日本舞踊家 西川流家元 〜後編〜

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2007年8月30日(木)

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NBオンライン: 素敵な方々と出会い、たくさんのことを教わったことが大きな財産だそうですね。

日本舞踊家 西川流家元、西川右近氏

日本舞踊家 西川流家元、西川右近氏

西川: 父はとても広い人脈をもっており、「名古屋をどり」の台本を川端康成さん、高見順さん、木下順二さん、北條秀司さんなどにも書いていただきました。父がお付き合いさせていただいていた松山善三さんには、父のみならず私からも何度もご依頼し、今もご連絡をとらせていただいております。私が主宰してからも、久世光彦さん、市川森一さん、鴨下信一さん、皆川博子さんなどにご執筆いただきました。

 こうして、仕事で知り合った方々には、本当にいろいろなことを教えていただきました。その後も電話を差し上げたり、手紙を書いたり、メールをしたりと、まめにご連絡させていただいています。それがいいのでしょうか、確かに出会いが私の大きな財産になっています。

 今回、「名古屋をどり」の脚本をお願いした横内謙介さんは、劇団扉座を主宰し、スーパー歌舞伎の脚本などでも知られる方ですが、面識があった訳ではありません。10年来存じ上げているプロデューサーさんに「よい作家さんがいらっしゃいませんか」とお声をかけておりましたところ、ご紹介があったのです。

 お付き合いをさせていただくときには、絶対に裏切らない。つまり私から縁を切ったり、離れていかないことを、これまで守ってきたつもりです。

 その人の肩書とか、業績にとらわれずにその人自身に関心をもって真摯に交友させていただけば、人間関係は深まり、その方を介してネットワークの輪が広がっていくものだと信じています。

世代は団塊でも、気持ちを断崖にするべからず

西川: 私の友人や同級生たちは、この数年間に社長を卒業し、その後就いた会長職、相談役職も退き、完全にビジネスの世界から離れていますが、さびしそうな姿を垣間見ることがあります。

 「自分は多趣味だから、組織を離れても何の問題もない」と豪語していたのに、会社あっての趣味だったり、友人だったことに気づく。ゴルフなんかは、一番いい例で、会社にいれば、「接待だ」なんだかんだで、すぐに4人が揃う。しかし、組織を離れると、お互いの興味も、懐具合も違うということがはっきりして、一緒に行く人が見つからない。
それで、定年後自分の周りに急に人がいなくなってしまったように感じるんですかね。これから組織を離れる “団塊”の世代の方が、“断崖”絶壁みたいな心持ちになってしまわないか心配ですよ。

 私は、日本舞踊関係者とはプライベートではあまり会いませんね。負けず嫌いなので、相手と自分を比べてしまって嫌な気持ちになりかねないので。

 18歳でこの仕事を始めて、当時お世話になったTVのプロデューサーはずいぶん前にリタイヤされています。久しぶりにお会いすると、お互い一緒に過ごした頃に戻って、気持ちが一遍に若返る。そういうことってとても楽しいことですよ。

 年を重ねると、どうしても人に出会う機会が限られます。
組織を離れてさびしくなったと感じたら、これまでお世話になった方に久しぶりに手紙や電話をなさったり、会ったりするとそれまでと違うものも見えてくるんじゃないでしょうか。

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このコラムについて

「生涯現役」という生き方

団塊の世代が一斉に退職を迎えている。この先の人生をどのような指針で生きて いくのかが問われる。このシリーズでは団塊よりもさらに上の世代で、年齢を重 ねてもなおバリバリの現役人生を貫いている著名人に、「60歳からの充実した人 生の送り方」を聞いていく。仕事に賭ける衰えぬ情熱の源泉はどこに? 健康を 保つ秘訣はどこにあるのか?

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