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危機に瀕する海の一角獣(ユニコーン)

  • 藤田 宏之

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2007年8月24日(金)

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 一角獣の角のような長い「牙(きば)」をもつ北極海のクジラの仲間、イッカク。だが今、この牙目当ての乱獲によって、種の存在が脅かされつつある。

 北極海の冬は、暗く、長い。カナダ北東部、バフィン島に面したランカスター海峡では、気温がマイナス40度にもなる極寒の日々が何カ月も続く。だが、やがて海峡を覆う氷が割れはじめ、あちこちに水路ができてくると、春の訪れを告げるように、独特の風貌をした小型のクジラが姿を現す。海のユニコーン、イッカクだ。



海のユニコーン、イッカク。歯が変形して長く伸びたその「牙(きば)」は、中世の王侯貴族にも珍重された。だが現在、この牙目当ての乱獲によって、種としての存在までもが脅かされている。
海のユニコーン、イッカク。歯が変形して長く伸びたその「牙(きば)」は、中世の王侯貴族にも珍重された。だが現在、この牙目当ての乱獲によって、種としての存在までもが脅かされている。

 昔から、イッカクは夏を過ごすためにこの海にやってくる。近くに住む先住民イヌイットの猟師たちは、その到来の報を聞きつけるといっせいに色めきたち、ライフルを手に海へ急ぐ。

 6月のあいだ、バフィン島北部のアドミラルティ入江でキャンプをして待ち続け、ようやくイッカクの甲高い鳴き声や噴気孔から出る音を耳にしたときには、思わず氷の塊にのぼり、歓声があがる。

 最初は8~10頭しか見えなかったイッカクの群れは、たちまち数百頭にふくれあがった。
 氷の上に並ぶ男たちがイッカクを狙うのは、その牙が1本につき1000ドル(約12万円)以上で売れるからだ。職がないうえに生活費がかさむ極北の地では、またとない収入源となる。牙だけでなく、マクタックと呼ばれる表皮と脂肪の層も、彼らにとっては昔からの貴重な食材だ。

 イッカク猟では、ライフル弾の命中数にくらべて、実際に手にする獲物が極端に少ない。どんなに腕の良い猟師でも、イッカクを仕留め、海から引きあげるのは大変な作業だ。まず、イッカクが水面に顔を出した瞬間に、頭か脊髄に弾を命中させなくてはならない。タイミングを誤れば海中に沈んでしまうし、急所をはずすと、よそに逃げてそこで絶命する(もちろん、生きのびることも多い)。撃たれたらしい傷跡があるイッカクがみつかる機会は少なくない。

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