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忘却と無関心を越えよう~『グアムと日本人 戦争を埋立てた楽園』
山口誠著(評:島村麻里)

岩波新書、740円(税別)

  • 島村麻里

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2007年8月28日(火)

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『グアムと日本人 戦争を埋立てた楽園』

グアムと日本人 戦争を埋立てた楽園』 山口誠著、岩波新書、740円(税別)

評者の読了時間1時間50分

「グアム? そんなとこ、行くな!」

 新婚旅行で行くといったら、戦中派の父が火を噴いたのだった。「あそこでどれだけの人が亡くなったか、お前ら考えたことあんのか?」。娘(評者)としては、ハワイより安いってだけの理由だったのだが、婚約者の父親もやはり反対したらしく、結局取りやめた。1980年代初めの話である。以来、行こうと思ったことがない。

 「戦争を埋立てた楽園」。本書の著者は、ミクロネシアに浮かぶあの島をそう捉え、幾度となく「埋立て」を繰り返しながら変容してきたグアムと日本人とのかかわりに迫る。

 年間約100万人の日本人が訪れるグアムは、31カ月間ではあったが日本が唯一分捕った有人の米領土である。占領下では「大宮島」と改称された。日本軍により多くの島民が殺害され、1944年、米軍の反撃によって約2万の日本兵がこの島で死んだ。

あの「横井さん」のその後

 南の島=パラダイスと連想するのは簡単だ。が、およそリゾートアイランドとして知られるところの多くはかつての戦場である。ハワイ然り、沖縄然り。夥しい血が流れた後、先進国の軍事拠点として現在に至っている。

 グアムの場合、慰霊目的の訪問団を機に、日本人とのかかわりが再び始まる。60年代の終わりには、(戦争を知らない)団塊世代の新婚カップルに向けて、「先輩」ハワイよりも近くて安い「楽園」を売り込んだ。敗戦後28年間も島内のジャングルに潜んでいた横井庄一氏が「恥ずかしながら」帰国したのが72年。そのわずか1年後には氏自らハネムーナーとして島に戻り、日本人招致の広告塔となっていたという事実を本書で知って驚いた。

 グアムの観光開発はその後、タモン湾周辺に一極集中するようになっていく。その間、観光や周遊コースから戦跡や慰霊の場が外れ、島の歴史や文化を伝える博物館がすたれ、ガイドブックはグルメやマリンスポーツなど、お楽しみ情報ばかり載せるようになって、戦争にかんする人々の記憶はどんどん「埋立てられて」いく。

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