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「ペーパーレス社会」が来ないワケ~『紙のなんでも小事典 パピルスからステンレス紙まで』
紙の博物館編(評:漆原次郎)

講談社ブルーバックス、880円(税別)

  • 漆原 次郎

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2007年8月31日(金)

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『紙のなんでも小事典 パピルスからステンレス紙まで』

紙のなんでも小事典 パピルスからステンレス紙まで』 紙の博物館編、講談社ブルーバックス、880円(税別)

評者の読了時間4時間20分

 書名からしていわゆる雑学本。そう思って、読みはじめた。

 予想どおり、「紙の博物館」で案内役をしている元大手製紙会社の技術者たちが書いた本だけあって、紙にまつわる蘊蓄が豊富だ。

 たとえば「模造紙」という言葉の由来。1878年のパリ万博で日本の印刷局が漉いた和紙「局紙」がオーストリアで模造された。「ジャパニーズベラム」というその紙を日本人はさらに模造して「模造紙」として売りだしたのだそうだ。

 ほかにも、書籍の寸法で目にする「四六判」は「横四寸二分、縦六寸二分」からきているとか、紙の発明者として知られる蔡倫の時代(紀元100年ごろ)よりもさらに200年以上前に作られた紙が中国から発見されているとか…。

 「はじめに」でも、紙についてのさまざまな「疑問や誤解に対して、分かりやすく説明し、紙に興味をもっていただくことが本書の目的」とある。その目的はきちんと遂行されている。

 けれども、読み終えて、この本がただの雑学本として流通するだけではもったいないと思った。というのも、この本は、「紙の将来はどうなるか」を私たちに考えさせる機会を与えてもくれるからだ。

紙だと直したくなる人の心理

 むろん、「ペーパーレス社会は来るのか」といった話も出てくる。著者は、紙媒体と電子媒体の利点を比較する。すなわち、紙は見読性(読みやすさ)、一覧性(紙面の見わたしやすさ)、保存性、携帯性、原本性などの点で優れており、いっぽうで、電子媒体には情報密度の高さ、情報の加工性、配布性、検索性などの利点があるといった具合だ。

 しかし、電子媒体にこれだけの優れた点があるにもかかわらず、オフィス用紙はいまも増加傾向にある。著者によれば、職場がペーパーレスになるという社会的予測が外れた原因の一端は、「人の心理や習性」にあるという。ここでは「コンピュータ画面上で作った情報をプリントアウトしてみると、直しても直しても修正したくなる」といった分析がなされるが、言われてみれば当たり前の意見も、紙の専門家が述べると説得力がある。

 ペーパーレス云々の話以上に「紙の将来」について深く考えさせられるのは、 “技術革新の材料”としての紙を紹介している箇所だ。紙は、電流を通さない木から作られるため、電気絶縁性が備わっている。また、加工のしかたによっては高熱にも耐えうる。製造費用もさほどかからない。書くための媒体とはまた別の、機械や装置の機能向上におけるきわめて優秀な材料としての顔をもっているのだ。

 社会が環境対応型にシフトしていく中で、紙の重要性は増していくだろう。例えば、次世代の乗り物として開発が進む電気自動車だ。

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