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エディット・ピアフ(2)~イヴ・モンタンを発掘、アメリカへ進出

自分を生きた女たち

  • 松島 駿二郎

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2007年8月31日(金)

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『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』 配給:ムービーアイ 今秋、有楽座ほか全国ロードショー www.piaf.jp (C)2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION OKKO PRODUCTION s.r.o.- SONGBIRD PICTURES LIMITED

『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』 配給:ムービーアイ 今秋、有楽座ほか全国ロードショー www.piaf.jp (C)2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION OKKO PRODUCTION s.r.o.- SONGBIRD PICTURES LIMITED

エディット・ピアフ(シャンソン歌手)
1915年生まれ。フランスのシャンソン歌手、作詞家。9歳で街頭で歌い始める。17歳で女児を出産するが、娘は2年後に病死。35年デビュー。20世紀の歌姫として国際的に成功をおさめる。その生涯は自動車事故、麻薬中毒、恋愛スキャンダルなど、波乱に満ちていた。小柄な体から湧き出るような歌声は聴衆を魅了。「バラ色の人生」「愛の讃歌」などの名歌、名唱がある。イヴ・モンタン、シャルル・アズナブールなど多くの才能を見出し、育てたことでも知られる。63年、47歳で没する。映画「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」がこの秋、全国で公開される予定。

前回「エディット・ピアフ(1)~シャンソンそのものを生きた愛の生涯」はこちら

 エディットの才能は、シャンソンという分野で花開いた。シャンソンは宮廷で歌われる歌ではない。民衆が安酒場で、たばこの煙にむせながら流れてくる声を楽しむものだ。エディットの生い立ち、歌の修行は、まさにシャンソンのために用意されたようなものだった。

 たちまち、パリで人気が沸騰した。エディットの低く深い声は、天性のものだった。しかし、楽譜が読めない。読めなくたって構わない。心を揺さぶる歌声があれば。歩道を先生にしたエディットは、まだ勉強不足だった。また歩道育ちのため、社交界のマナーも学ぶ必要があった。

 高級なディナーなど食べたことがなかったから、当然マナーなど知らない。コースの最後に出てくる指を洗うフィンガーボールを水を飲んでしまったこともあった。周囲は失笑するのだが、エディットは気にしなかった。今度は飲まなければいい。そうして、学習する姿は、エディット独特のものだ。歩道育ちのエディットに怖いものはなかった。

 エディットのフィンガーボール事件に侮蔑の表情を浮かべた上流社会の淑女たちは、後にエディットが、エリザベス王女と席を並べて食事するとは思いも寄らなかったはずだ。

 あるときいつものように、場末のキャバレーで歌ったとき、楽屋に堅苦しい制服に身を包んだ、儀典課長と名乗る男がやってきた。

「エリザベス王女が食事にお招きしたい希望をお持ちです」
 妹分のモーモーと一緒なら、という条件をのんでもらった。
「どんな風にお辞儀をしたらいいのかしら」

 ディナーの日、王女はにこやかに笑いながら、エディットに隣の席をすすめた。
 エリザベス王女は、エディットたちにはとてもまねのできないような完璧に美しいフランス語で、
「父のジョージ5世も、レコードのコレクションの中に、あなたのレコードを加えることを望むでしょう」

 エディットはこうしてセレブリティの世界に入った。
でも、エディットは、時々たまらなく歩道の生活に戻りたいと思った。あの懐かしい「歩道よ!」。しかし、一度大衆(民衆)の心を捕らえてしまったエディットにはもう自由はなかった。興行師が次々に公演を企画し、それに振り回される日々が始まった。

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