料理とワインの絶妙な組み合わせ
晩年パリでロッシーニが催した美食の晩餐会では、世界各地の銘酒がふるまわれた。前回紹介した自筆の晩餐メニュー(1)に登場したワインは次の6種である。
《栄光に感激した人(食卓のロッシーニ)》
ドン・チッチョ画 1864年
マデイラMadeira : ポルトガル領マデイラ諸島原産のワイン。料理酒としても使われる。
ボルドーBordeaux : フランスのボルドー地方で作られる赤ワインの総称。メドック、グラーヴなど、地区ごとの名称でも有名。
ラインRhein : ドイツのライン川流域で生産される白ワイン。
シャンパン[シャンパーニュ]Champagne : フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性のワイン。
アリカンテAlicante : スペインのアリカンテ県を中心に作られるワイン。
ラクリマLacrima : ナポリのヴェズヴィオ山の丘陵で作られるワイン。ラクリマ・クリスティ(キリストの涙)の名称でも知られる。
料理とワインの組み合わせに対するロッシーニの熟慮は、現存する次の自筆メニューにも見て取れる(写真参照)。左側に記したマデイラ、ボルドー、レーノ[ライン]、シャンパーニュを横線で抹消して右側に書き直し、デザート用にヴィッラ・コッレ(イタリア・ワインの1銘柄)を追加しているのだ。料理は上から、マカロニ[マッケローニ]、赤身のサラミ[サルーミ・ディ・マーグロ]、ツァンポーネ(豚の脛=すね=からひづめまでの皮に調味した肉を詰めたモデナの特産品)、魚、フィレ肉、パイ[パスティッチョ]、きのこ、七面鳥、ドルチェ、チーズ[フォルマッジョ]の計10品である。

ロッシーニ自筆の晩餐メニュー
アシスタンス・ピュブリック、パリ病院図書館蔵 (撮影:水谷彰良)
| ロッシーニ自筆の晩餐メニュー(2) | |
| [前菜]マカロニ 赤身のサラミ ツァンポーネ |
マデイラ・ワイン |
| 魚料理 | ボルドー・ワイン |
| フィレ肉 | |
| パイ | ライン・ワイン |
| きのこ | |
| 七面鳥 | シャンパン |
| ドルチェ | |
| チーズ | ヴィッラ・コッレ |
注:飲み物は斜体。横線で抹消された飲み物は省略しました。
もう1つの晩餐メニュー(3)には、前菜3種と11品からなるコース料理と共に、6種のワインが記されている。見ただけで胃にもたれそうな献立だが、メインディッシュをパイで終え、サラダをシャンパンで食し、果実酒で口直しして様々なデザートを楽しんだことが分かる。
| ロッシーニ自筆の晩餐メニュー(3) | |
| [前菜]マカロニ 赤身のサラミ ツァンポーネ |
マデイラ・ワイン |
| 1 フライ料理 | ボルドー・ワイン |
| 2 魚料理 | |
| 3 鶏のフィレ肉 | |
| 4 シチュー | |
| 5 冷製パイ | ライン・ワイン |
| 6 卵の黄身とサラダ | シャンパン |
| パンチ(果実酒) | |
| 7 ボローニャ風トリュフ | |
| 8 えんどう豆のバターあえ | |
| 9 焼き菓子 | |
| 10 果物、チーズ | アリカンテ・ワイン |
| 11 ジェラート | ラクリマ・ワイン |
注:飲み物は斜体。名称は一般的な表記としました。
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