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『生きさせろ!』、人を馬鹿にした働かせ方をするな!

~格差社会の新しい闘争論

  • 大宮 冬洋

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2007年9月19日(水)

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生きさせろ! 難民化する若者たち

生きさせろ! 難民化する若者たち』雨宮処凛著、太田出版、1300円(税抜き)

 生きさせろ、とは何とも他人任せのタイトルだ。しかし、そうとしか言えない悲惨な状況に追い込まれた若者たちがいる。

 たとえば、ひきこもれる家庭すらなく、漫画喫茶で寝泊まりする若きホームレスたち。子どもを連れて派遣先や請負先の工場を渡り歩く「子連れ請負」たち。彼らに向かって“努力が足りない”と説教するような自己責任論に、著者は激しく反論する。ワーキングプアが増えている背景には、安価で流動性の高い労働者を階層として固定化しようとする経済界の企みがあるのだと。

 なぜ、こんなことになったのか。本書で詳しく触れるが、九五年、日経連(※)が明確に宣言したからだ。これからは働く人を三つの階層に分け、多くの人を使い捨ての激安労働力にして、死なない程度のエサで生かそう、と。つまるところ、国内に「奴隷」を作ろうという構想だ。なんのことはない、この状況は十年以上前から用意されていたのである。

(※編注:日本経営者団体連盟、2002年に経済団体連合会=経団連と統合して日本経済団体連合会=日本経団連)

 人材が不足し始めたいまでこそ就職状況は好転しているが、ほんの数年前まで「就職氷河期」と呼ばれた時期が続いていた。そのため、多くの若者が正社員の職に就けず、フリーターや派遣をはじめとする非正規雇用の立場で働かざるを得なくなった。

未来を食いつぶしながら企業は復活

 長いフリーター経験をした著者は、非正規雇用社員への企業の理不尽な仕打ちを肌で感じてきた。不当解雇をされたり、「フリーターはだらしないから」という理由で採用面接を断られたり。

 若者の未来を食いつぶしながら日本企業は見事に復活を遂げ、利益を上げ続けている。しかし、フリーターなどから大企業の正社員へ転じる道はほぼ閉ざされたままだ。

 底辺で支えているのは非正規雇用社員だけではない。正社員という地位にしがみつくために過重な労働を続け、過労で心身を病む人も増えている。

 2001年、フリーターを経てY電機の契約社員になった著者の弟もその1人だった。店舗スタッフとして1日14時間以上の労働に耐え、入社1年後には正社員となった。それが「地獄」の始まりだった。現場の責任者として、まさに朝から深夜まで立ちっぱなしで休みなく働かされる。1日17時間を軽く超える長時間労働。夕食をとる時間もない。意識は朦朧とし、体は極限まで痩せていった。このままでは過労死に至るのは明白だった。

 弟に会社を辞めさせようと奮闘する著者たち家族の姿がせつない。オウムのようなカルト集団に入った子どもを持つ家族すら羨ましかったと振り返る。

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