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労働基準は米国が認証します~『労働CSR入門』
吾郷眞一著(評:荻野進介)

講談社現代新書、720円(税別)

  • 荻野 進介

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2007年9月11日(火)

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『労働CSR入門』

労働CSR入門』吾郷眞一著、講談社現代新書、720円(税別)

評者の読了時間2時間10分

 隙あらばグローバルスタンダードという基準を作り、あたかも十字軍になったかのように、その普及と宣伝に努め、そこから外れるものは容赦なく切り捨てる。米国の典型的なやり口だ。企業経営の分野では会計基準や企業統治の仕組みがそうやってスタンダード化したが、我々の多くが気づかないところで、もうひとつの事態が進行している。それが本書のテーマ、「労働CSR」である。

 CSRとは、ご存じ、Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任であり、労働CSRとは、年端もいかない児童を雇用することや、たとえ成人でも強制的あるいは差別的待遇のもとで働かせるといった、労働分野での人権を侵害せずに、日々の企業活動を行うことを指す。

 その内容自体には問題はない。むしろ、歓迎すべきじゃないか、と万人が思うだろう。問題の本質は、それを推進し、各企業にお墨付きを与えるのが米国の民間認証機構という点なのである。

ILOと労働CSRの差

 なぜ民間の認証機構が労働CSRに関わることが問題なのか。2つ理由がある。まずは、それらが単なる私的団体に他ならないからだ。何を根拠に「認証」を行うのか、その基準は恣意的としかいいようがない。

 そのためだろう、民間認証機構が依拠する基準には、ILO(国連の専門機関である国際労働機関)条約がそのまま引用されることが多い。「それはILO条約に対する誤解に基づく」と、過去にILOでの勤務経験がある著者はいう。

 最も大きな誤解は、ILO条約が政労使3者の合意によって制定され、法としての正当性をもつのに対して、民間団体が進める労働CSRはそこまでの正当性がないという点である。自分たちがいいと思う基準を勝手に定め、自主的に適用しているだけなのだ。これはILO条約を骨抜きにすることにもつながってしまう。

 例えば、認証機構が児童労働の禁止を認証基準とし、その根拠にILO条約を引用したとする。

コメント4件コメント/レビュー

 独善的でも規定を決めてしまって、それを押し通してしまうというのはいつもの欧米のやり方という気がしますね(決して米国だけでなく)。 日本からの基準の発信で受け入れられるのかという御意見もありましたが、取り越し苦労をするよりは、受け入れられかつ日本の利益になるようなものを考えればよいのでは? ルールを受け入れて、公平な運用をというのも理屈の上では有効かと思いますが、現実にはルールを守るものよりもルールを決めるものが圧倒的に有利だと思うので、一時期あった「公害を発生させない開発」だとか「身辺の綺麗な自*党の政治家」というのと同じくらい無意味な設定では? まず日本発(若しくはせめてコミットした)基準を決めるよう運動し、並行的に米国の位置民間企業が国際基準といいはる非論理性と傲慢さを指摘し、次善の策として、公平な運用を米国に行わせるにはどうしたらよいかを考えるべきでしょう。 …スポーツの話だけど、国際柔道連盟から日本人の理事が消えましたね。いたって青柔道着とかが決められてしまったのだから、ルール作りにコミットしない危険性はどんな分野でも明白でしょう。(2007/09/14)

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 独善的でも規定を決めてしまって、それを押し通してしまうというのはいつもの欧米のやり方という気がしますね(決して米国だけでなく)。 日本からの基準の発信で受け入れられるのかという御意見もありましたが、取り越し苦労をするよりは、受け入れられかつ日本の利益になるようなものを考えればよいのでは? ルールを受け入れて、公平な運用をというのも理屈の上では有効かと思いますが、現実にはルールを守るものよりもルールを決めるものが圧倒的に有利だと思うので、一時期あった「公害を発生させない開発」だとか「身辺の綺麗な自*党の政治家」というのと同じくらい無意味な設定では? まず日本発(若しくはせめてコミットした)基準を決めるよう運動し、並行的に米国の位置民間企業が国際基準といいはる非論理性と傲慢さを指摘し、次善の策として、公平な運用を米国に行わせるにはどうしたらよいかを考えるべきでしょう。 …スポーツの話だけど、国際柔道連盟から日本人の理事が消えましたね。いたって青柔道着とかが決められてしまったのだから、ルール作りにコミットしない危険性はどんな分野でも明白でしょう。(2007/09/14)

信用格付けと同じ構図ですね。日本でも対抗できる機関を育てるべしという主張は、正しいと思います。(2007/09/11)

途上国での不法労働は、巡り巡って我々の賃金を下げる圧力になっています。いわば労働力のダンピングであり、人権問題以上に経済問題です。児童労働者の犯罪者化といった情緒的な方向に持っていくのは、問題をぼやけさせるだけではないでしょうか。また、実際に日本主導の基準が国際的な支持を得られるかは疑問です。むしろ米国の認証に対し、圧力をかけ続けて公平な審査を求めていくことの方が現実的では?(日本企業に甘くという訳ではなく、ナイキやイケアのような巨大企業にもきちんと監視の網がかかるように)(2007/09/11)

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