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2つのイスラムに引き裂かれるパキスタンの現実

  • 藤田 宏之

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2007年9月7日(金)

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 パキスタンを二分するだけでなく、世界を引き裂きかねない亀裂があるとすれば、それは首都イスラマバードの西27キロメートルにあるマルガラ峠だろう。峠の南東には、インドの豊かな農業地帯が広がっている。一方、峠の西と北は中央アジアの荒涼とした山岳地帯で、馬に乗った男たちが家畜を追い、他部族を襲う。彼らが畏れるのは唯一の神アッラー。「敵は捕虜にせず、その場で殺す」――それが掟だ。

 パキスタン中央部にあるマルガラ峠の崖で、西部の山岳地帯とインダス川渓谷が出合い、まったく異なる2つの古い文明が衝突する。また、ここでは2つの相矛盾するイスラム信仰がぶつかる。比較的戒律がゆるく、寛容なインドのイスラムと、アフガニスタンとの国境地帯の原理主義的なイスラムだ。



アフガニスタンとの国境に近いペシャーワル近郊はイスラム原理主義勢力の拠点だ。政府軍の兵士が銃を構えて警戒している。絶大な力を持つ軍部は、たびたびクーデターを起こしては政権を握ってきた。これまで4回成立した文民政権は、いずれも任期満了を待たずに崩壊している。

 今のパキスタンでは、この2つの拮抗する勢力がぶつかりあって不穏な“揺れ”が起きている。パキスタンで生じたその揺れは余波となってロンドン、ニューヨークにまで及ぶ。イスラム穏健派と過激派の対立は、本質的にはこの2つの文明、2つのイスラムの対立であり、世界のムスリム(イスラム教徒)を引き裂く、より大規模な対立の縮図といえる。

 建国から60年、人口1億6000万人の97%がムスリムであるにもかかわらず、平和な国としてまとまったことは一度もない。たび重なるインドとの戦争、パルベズ・ムシャラフ大統領率いる現政権などの歴代の軍事独裁政権に翻弄されてきた。また、パンジャーブ人、シンド人、バローチ人、パシュトゥーン人など多様な民族をもつパキスタンでは、民族間の抗争も絶えない。

 国家をまとめるために、歴代の政府は莫大な軍事費を投じてきた。その結果、パンジャーブ人中心の軍上層部が特権階級となって腐敗政治が横行し、公正な裁判、医療、教育や安全、そして将来への希望という国民の基本的な欲求が放置されてきた。こうした現状に対する不満が噴き出す中、軍事政権に批判的な弁護士などは、文民政権による民主的な統治への回帰を求めて抗議行動を繰り広げている。

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