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ウナギ喰うならいまのうち~『ウナギ 地球環境を語る魚』
井田徹治著(評:漆原次郎)

岩波新書、740円(税別)

  • 漆原 次郎

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2007年9月12日(水)

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『ウナギ 地球環境を語る魚』

ウナギ 地球環境を語る魚』井田徹治著、岩波新書、740円(税別)

評者の読了時間4時間40分

 ウナギの旬は、もともとは土用丑の日よりもむしろ秋口だったという。暑かった夏をウナギで〆るなんていうのも、また乙だろう。

 最近では、中国産“抗菌剤漬けウナギ”輸入問題もあり、「体に悪そうなウナギなんて食べてられるか」と敬遠していた方も多いことだろう。しかし、そんなこともいっていられない事態は近づいている。なにせ、ウナギ自体を食する機会が、来年から失われてしまうかもしれないのだから。本書を読んで、切迫感に駆られた。

 ウナギは江戸時代以前から滋養源として日本人に親しまれてきた魚である。けれども、ウナギがどのような生態をしているのかは、ようやく明らかになってきたところだという。

 たとえば日本付近に生息するニホンウナギは、グアム沖の海山近くで卵から孵り、北太平洋を東回りに大きく蛇行する北赤道海流と黒潮の流れに身を預けながら日本沿岸までたどり着く。河口近くの浅瀬で淡水生活に身を慣らすため一息ついたあと、海よりも外敵が少ない川を上っていき、中流や湖などで5年から10年かけて成長する。栄養をつけたウナギは、子どもを産むためにまた川を下って太平洋に向かう。寿命は10年にも20年にも及ぶという。著者はウナギの一生を「スローな生活」と書いているが、じつに「過酷な長旅」である。

ウナギとカナリヤの共通点

 日本でも欧州でも北米でも、10年前にくらべて捕れる天然ウナギの量は半分ほど。しかも、ウナギは成長に歳月がかかるため、いまの漁獲量の急減は、10年ほど前に生まれたウナギの個体数減少が顕在化したものと考えられている。干潟の干拓や河口堰の設置、水力発電ダムの建設。これらが個体数の急減を招いている原因のようだ。

 自然の中で育つウナギは、「炭坑のカナリヤ」のような、地球環境の微妙な変化を正確に反映する「指標生物」になる。たとえばウナギは、人への被害は大したことがなかったと結論づけられつつあるダイオキシンの影響を、受精卵の未発達や奇形の発生といった形で確実に受けている。海に浅瀬に川に湖にと住処を転々とする天然ウナギの跡を追えば、人間がいたるところで自然に手を加えていることがわかるのだ。

 天然ウナギに見られる環境問題以上に詳しく書かれているのが、食資源としてのウナギの国際問題である。著者は「日本人はウナギとの付き合い方を、今一度、考え直して見る必要があるはずだ」と訴える。

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