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次の選挙までにテレビ局がやっておくべきこと【前編】
~「いつでも電波は止め得る」という“常識”

2007年9月19日(水)

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 数年前にNHKの「視点・論点」という番組に出たことがある。

「この番組は生中継ではないのですが、編集しないというのが趣旨ですから」

 局のスタッフが言う。

 なんのことかと思ったが、要するに10分の番組時間は全て出演者の一方的な語りで作られる。司会もいないし、指示も出さない。そして事後的にも編集・構成の類は一切、差し挟まないということだ。逆に言えば、「生」以外ではいかに編集構成を加えて制作している番組が多いか(笑)ということかもしれないが、とりあえずここだけは無編集で、出演者の「視点・論点」をストレートに伝える一種の「特区」的な番組なのだという自負をスタッフの語り口に感じた。

「つきましては、○○日までに2700字の原稿を用意してください。お話の時間はオープニングとエンディングの部分を除くと正味9分30~50秒秒ぐらいですが、だいたいその分量を用意して読んでもらうと長くもならず、不足もせずにその時間内に収まるようです」

 そう電話口で言われて、期日までに原稿を用意し、収録スタジオに赴く。正直な話、あまり予算は潤沢ではないようでセットは質素だった。今はシステムが違っているかも知れないが、その時は出演者が座るデスクの前にモニターが1台、出演者から見えるように置かれており、そこには自分が書いた原稿が映し出されている。

「少し速く」「もっと遅く」で大苦戦

 机の上に用意した原稿を置くのだが、それを上方から俯瞰で撮影しているカメラが設置されており、その映像がモニターに映っているのだ。手元の原稿を視線を落として読み上げるとカメラ目線でなくなるので、カメラ近くにおいたモニターに原稿を映しているのだろう。

 予想と違うな、と思った。米国大統領になったクリントンが国民に目線を向けて話すためにプロンプターなる装置を導入し、それを使うと視聴者からは見えないが、演者には見える透明なモニターに台本が映し出されている、とかいう話題を聞いていたので、そこまでは望まずとももう少しハイテクな設備があると期待していたのだ。視線の先に歩枯れたモニターに映し出されている原稿は、距離があるので見にくくなっているため、糖尿病などで弱視になった人のためのメモ原稿のようにフォントを大きくして印刷されている。手元で話者自身が原稿用紙をめくりつつ、そのモニター映像に映った文章を見ながら話しをしてゆくのだ。

 リハーサルは1回のみ。軽く用意した内容を話してみたら、こちらは予想通りというか、2700字は6分ぐらいであっという間に読み終えてしまう。ぼくは早口なので、こうなる危惧は初めからあったのだが、次はゆっくり話すということで本番収録を敢行する。

 で、カメラを回して話し始める。1/3ぐらい進んだ時点で視聴者には見えないが、デスク前にしゃがんでいるタイムキーパーのスタッフが「少し速く」と書いたカンペを出す。ゆっくり読もうと思う余り、今度は遅くなりすぎていたらしい。で、1速シフトダウンする落とす感じで読む速度を加速させた。すると2/3ぐらいで今度は「もっと遅く」である。いかん、速くなりすぎた! こうなると自分の読む速度ばかりが気になって、焦り出す。

「編集なし」の政権演説放送は中立か?

 そういえば・・・・・、他の出演者が出ている回のこの番組を見たことが何回かあったが、がちがちに緊張している人がいたり、最後になって気が触れたかのようにひどい早口になっていてヘンだなと思っていたのだ。今にしてその理由が分かる。彼等もカンペで指示を受けて、気もそぞろで時間内に語りを収めることに恐恐としていたのだろう。そんなことも思い浮かべつつ、こちらも時間内で読み終えることだけで頭の中は一杯となり、内容のことなどすっかり上の空になっている。手元の原稿のページをめくるときに文章が途中で切れていると、自分が何を話しているのかもはや分からなくなっているので、次に続く言葉が出ない。口ごもってしまうことが何度かあった。

 それでもなんとか規定時間には収め、終了時間まで延々と音楽がだけが流される事態は避けられたが、視聴者にむけてメッセージを伝えることに配慮する余裕など持ち得なかった。慣れればまた違うのだろうが、ぼくの最初にして、たぶん最後の「視点・論点」出演はこうして終わった。

 こんな経験があるので、出演者の大変さがうかがい知れる番組がある。選挙のたびにNHKが通常番組を休んで、相当の時間を割いて放映する政見演説放送だ。 

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