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次の選挙までにテレビ局がやっておくべきこと【後編】
~まともな第三者委員会が必要だ

2007年9月26日(水)

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 Webの活用によって過剰な「量的(時間)公平性」を切り離し、テレビメディアの力量を論点の設定に発揮させては、という話をさせていただいたが、問題はやはり、その放送がためにするものではなく、論じるべき的確なものであることを「誰が」判断するか、にある。それを考えるために、そもそも放送法でなぜ放送に中立公正が課せられたかを考えてみよう。

 日本の放送法は受信料を財源として経営されるBBCと似た形の放送局(つまりNHKですね)の設置を認めた点では英国流だし、広告収入経営の民放を設置したとことは米国流である。放送先進国の米英の折衷型なのだ。

BBCが「公共性」のために辿った道

 しかし、その一方のルーツである英国のBBCが政治的に中立的といえば、いろいろといわくが残されている。BBCは当初、ラジオ受信機メーカーの出資で設立され、郵政公社の監督下に置かれていたが、1923年にBBCが建設業者のストライキを放送したとき、郵政公社総裁は「放送事業が論争的な事項に関する意見を広く知らせるために使われるのは望ましくない」という声明を出して、番組内容に制限を加えようとした。これは、いってみれば「大衆が嗅ぎつけて大騒ぎになりそうなテーマは放送して広く知らせてくれるな」ということであり、事実上の放送規制だった。これに対して初代会長ジョン・リースは抵抗し、予算審議や政党党首の演説など、いわゆる「論争的な事項」であっても果敢に放送し続けた。

 こうした対立に対して、英国の放送のあり方を考えるために1923年4月に結成されたフレデリック・サイクス卿を委員長とする放送調査委員会はリース支持を打ち出す。そしてサイクス委員会を受け継いだ二代目クロフォード委員長の調査委員会も同じ路線を引き継ぎ、たとえば蔵相時代のチャーチルがBBCを政府の広報機関として用いて1926年のゼネスト収拾を望んだのに対して、リースが断固としてそれを拒否し、政府と労働組合の双方に取材をかけようとしたのを支持した。

 リースは早くから放送を公共サービス(public service)と称していたが、それは必要とあらば時の政府の方針と対立してでも公共に奉仕する放送を理想とすることを意味した。そんなリースの「公共放送」論を受けるかたちでクロフォード委員会は「放送は公共事業体によって担われるべき」と考え、BBCを民間会社から公共事業体への改組を勧告。1927年に国王の勅許に基づく公共事業体経営のBBC(British Broadcasting Corporation)が成立する。

 このように英国流の「放送の公共性」の概念は、政治との緊張関係にもまれつつ育まれた。そこで政治的「中立」とは政府の意向からも独立して、報道を行う意味だったことは注目に値する。そうした英国流を受け継ぎつつも、「中立」を政党間のバランスで解釈し、政見放送の放映時間の公平分配で解決できるとみなすようになったのは戦後日本の放送の「萎縮」の一例ではないか。 

プロならではの議題設定と、健全性の両立

 Web時代にはまんべんなく選挙情報を伝える役目はネットに任せて、放送は選挙期間であっても、自らの信念に基づいて自ら議題を設定し、国民に問うてゆくような姿勢があってもよい。

 たとえば取材に関して言えば、ネットのユーザーは殆どが素人であり、自分のことや、自分の見聞きした範囲のことは詳細に伝えられようが、未知の領域に取材してゆく力は乏しい。その点、放送局はプロの集団(のはず)である。放送で当事者報告の典型である政見演説をたれ流しているのは、そうした取材力リソースを無駄使いしていることになる。もっと取材で攻め込んでゆく放送を行い、自ら問題提起をし、議題設定してこそ放送の使命は果たされると言えよう。

 しかしそこで行き過ぎると先にも指摘した議題設定能力の過剰に至って、番組自体が不健全、不適格なものにならないか--。そこは放送局の自律に委せる、自浄機能に期待するといいたいところだが、テレビの巨大な影響力を思えば、そして公共にして有限の電波資源を使って放送を行っている以上、やはり結果なり対応なりについて判断を下し、もしも問題あった場合にはある程度の強制力を持って原因究明や軌道修正を命じたり、処罰が下せる体制を作る必要はあるだろう。

 では、「誰」がその任に当たるべきなのか? 

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