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湿地に眠る不思議なミイラ

  • 藤田 宏之

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2007年9月21日(金)

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 北欧の泥炭湿地からしばしば出土する不思議な「湿地遺体」。黒光りするこのミイラは、これまでに数百体発見され、鉄器時代の北欧で行われていた謎めいた生け贄の儀式を今に伝えている。

 その男の遺体は、2003年のある冬の日、アイルランドの土の中から掘り出された。男の髪は生前に整えた形を保っていた。後頭部は短く刈りあげ、頭頂部の髪を20センチほど伸ばして鳥のとさかのように盛りあげ、松脂で固めてあったのだ。だがそれは、この不思議な遺体にまつわる謎のほんの始まりに過ぎなかった。



オランダの湿地で見つかった「ユーデの少女」は16歳前後とみられ、泥炭の採掘に使う鉄の棒で切断されていた。織物でつくった帯が首に巻き付けられていたことから、絞殺されたようだ。CT装置による検査で、脊椎に重度の湾曲があったことがわかった。少女が生け贄に選ばれたのは、この障害のせいかもしれない。
オランダの湿地で見つかった「ユーデの少女」は16歳前後とみられ、泥炭の採掘に使う鉄の棒で切断されていた。織物でつくった帯が首に巻き付けられていたことから、絞殺されたようだ。CT装置による検査で、脊椎に重度の湾曲があったことがわかった。少女が生け贄に選ばれたのは、この障害のせいかもしれない。

 男の遺体が見つかったのは、泥炭の加工場にある巨大なふるいの中だった。全裸で頭部がひどく左にねじれ、両足と両腕の前腕部が失われていた。クローニーカバンという小さな町の湿地から泥炭とともに掘り出された際に、掘削機械が引きちぎったのだ。

 頭部と胴体には暴行を加えられた跡が残っていた。何者かに深手を負わされた後で、湿地に放りこまれたのだろう。鼻はひどくつぶされ、頭骨は砕かれ、腹部は刃物で切り裂かれていた。湿地に横たわっている間に、水分をたっぷりと含んだミズゴケの重さで頭部は平たく押しつぶされ、タンニンを含んだ黒い水が皮膚をなめし、毛髪は赤茶色に染まっていた。

 遺体の調査に呼び出されたのは、刑事ではなく、考古学者だった。通常の殺人事件の被害者ではなかったからだ。「クローニーカバン人」と名づけられたこの男は「湿地遺体」と呼ばれる珍しいミイラだ。

 酸素が乏しい湿地の中で、ミズゴケから生成される抗菌物質で自然に防腐処理されてミイラ化した。紀元前後の数百年間、鉄器時代の北欧で行われていた謎めいた儀式を今に伝えている。これまでに数百体がデンマークをはじめとして、アイルランド、英国、ドイツ、オランダの湿地から発見された。

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