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今さら「博物学」が常識を変える!~『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』
佐藤克文著(評:漆原次郎)

光文社新書、840円(税別)

  • 漆原 次郎

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2007年9月25日(火)

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評者の読了時間4時間10分

 昨年の夏のこと、天文学の国際学会が「冥王星」を太陽系の惑星から外すことを決めた。この“降格”によって、来春から中学・高校の教科書における太陽系の惑星は「水金地火木土天海」となるという。

 教科書とは、時代によって書き換えられていくもの。とりわけ理科の教科書では、ある時点までは“正解だった”記述が、“正解でなくなる”場合が往々にしてある。日々進歩する科学分野では次々と新事実が発見され、定説が覆されるからだ。

 本書で示される発見の数々も、きっと教科書の記述を書き換えるものになっていくだろう。パラダイム転換の臨場感を味わえる本である。

 紹介しているのは、「バイオロギング科学」という、耳慣れない学問。その定義は「人の視界や認識限界を超えた現場において、動物自身やそれをとりまく周辺環境の現象を調べる」というもの。簡単にいえば、ペンギン、ウミガメ、アザラシなどの海中での生態を計測するという、新しい動物学である。

 テレビや映画などで動物が海中を泳ぎまわる映像を目にしたことはおありだろう。だが、彼らの詳しい生態は、じつはほとんど知られていない。動物の振る舞いを正確に測定する手段がなかったからである。電波は水に遮られるし、超音波も遠くまで届かない。

鳥類だって「変温」することが分かった!

 バイオロギング科学では、「データロガー」という計測機器を動物の体に貼り付けて海中に放してやり、陸に戻ってきたら機器を回収することで海中活動データをログする。変数は、温度、深度、速度、加速度、方角、画像などさまざま。手法はいささか原始的ではあるが、計測技術の発達がもたらした科学といえる。

 著者は「ダーウィンが嬉々としてビーグル号に乗り込み、世界一周の採集旅行に出かけたときのような『探検の時代』が、水中動物においてもようやく訪れた」と語る。

 動物は、外部の温度によって体温を変化させる変温動物と、体温を一定に保つことができる恒温動物に区別できる。学校で私たちは、魚類、両生類、爬虫類は変温動物であり、鳥類、哺乳類は恒温動物であると教えられた。

 ウミガメは爬虫類、よって変温動物のはずだが、胃の中の温度をデータロガーで測ってみると、外部水温より少し高い温度で一定に保っていることがわかった。潜水のくり返しによる体温低下を防ぎ、遊泳行動を楽にしているらしい。体の大きな爬虫類は外気温に影響を受けず体温は一定という予想もあったが、それを証明したことになる。

 一方、ペンギンは鳥類だから恒温動物のはず。しかし、潜水を数十回くり返しているうちにペンギンの胃内温度は10度以上も下がることがわかった。

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