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壮大な辞典を持った国が、文明を一歩先んじる

『博士と狂人 世界最高の辞書OED誕生秘話』 サイモン・ウィンチェスター著 鈴木主税訳 早川書房刊 定価1800円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2007年9月28日(金)

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『博士と狂人 世界最高の辞書OED誕生秘話』 サイモン・ウィンチェスター著

『博士と狂人 世界最高の辞書OED誕生秘話』 サイモン・ウィンチェスター著

 OEDとはオックスフォード英語大辞典の頭文字をつなげたもの。OEDの第1版の全12巻の編纂には、70年の歳月が費やされた。英語という複雑な言語で、一度でも使用された言葉は、この辞典から逃れられない。

 しかも、その使われた文脈まで、用例として示される。それも、年代順に。いまのOEDは全20巻あり、1928年に完成した。直後に5巻の補遺が刊行され、その後、半世紀語に第2版が発刊された。いまでも、最高の英語辞典として君臨している。

 秘話とサブタイトルにある。読者はしばらくロンドンの貧民街で起こった殺人事件と、その裁判と精神障害であるが故に無罪、という裁判所の判決ににつき合わされる。舞台はまさにディケンズが書いた『デヴィッド・コッパーフィールド』が駆け回ったビクトリア朝ロンドンの陰の部分だ。

 ここにアメリカの南北戦争を生き抜いた男が逃げ込んできた。南北戦争は膨大な数の死者を出した悲惨な戦争だった。この戦争に補助軍医として参戦し、精神を病んだ男マイヤーが主人公のひとりとなる。マイヤーのアメリカの実家は比較的裕福で、精神病院に入所した後も本や食料をどしどし送りつけていた。

 さらにもうひとりの男、マレーはスコットランドの奥地ホーイックという町の出身。自分のことを取るに足りない男だ、公言するような地味な男だった。この2人が奇妙な機縁で出会い、ついに共同でOEDの編纂に取りかかる、というのが本書のあらすじである。

 不思議なことにマレーは辞書編纂が終わるまでマイヤーが殺人犯であり、精神病院の個室に収監されていることすら知らなかった。

 マイヤーは語学に関しては天才で、知られているあらゆる言葉に通暁していた。精神病者と言語学者が手を携えて世界最高の英語辞典編纂に取り組み、成功したという話だ。近頃評判のサヴァン症候群に罹患していた可能性が高い。

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