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深夜の“侵略者”に気をつけろ!~『スポーツニュースは恐い』
森田浩之著(評:朝山実)

生活人新書、700円(税別)

2007年10月2日(火)

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評者の読了時間3時間30分

スポーツニュースは恐い 刷り込まれる〈日本人〉

スポーツニュースは恐い 刷り込まれる〈日本人〉』森田浩之著、生活人新書、700円(税別)

 むかし「インベーダー」というテレビドラマがあった。建築家のデビッド・ビンセントが空飛ぶ円盤を目撃。宇宙からの地球侵略計画を察知するものの、誰にも信じてもらえない。露口茂のナレーションがゾクッと恐怖を煽った。本書を手にちらっと、そんなことを思い出してしまった。

 本書は、巧みな変化球で、ストライクを決めてくる。スポーツニュースってさァ、国に関わる隠密な重職を担っているんだけど、気付いていたかい? と著者は耳打ちするのだ。

 松坂やイチローや松井、あるいは中村俊輔、まあ誰だっていい、海外で日本人が活躍していると聞くと、なぜかうれしく思ってしまう。ルールなんて満足に知らないくせに、気にしてしまう。それはなぜなのかと、著者は問いかける。

<私たちが日本人だから? それは答えのようで答えになっていない>

 日本人選手の海外での活躍を「うれしく思う」背景にナショナリズムが影響しているのは、あらためて言われるまでもない。注目したいのは、「ナショナリズムには二つある」の論である。

<日本人であることを「誇りに思わせる」ナショナリズムと、日本人であることを「忘れさせない」ナショナリズム>

 似たものではあるが、この二つは大きく異なるものだという。国旗を振るのが「誇りに思わせる」イメージなら、「忘れさせない」は役所の入り口にひっそりと掲げるようなもの。松坂や松井をつい応援するのは、後者のナショナリズムが作用している。

 「国をつくる」という場合、力を発揮するのは、このように「ひっそり」とした行いの蓄積だという。著者のプロフィールを確かめると、「ニューズウィーク」の元副編集長とある。スタンスは、スポーツライターではなく、ジャーナリストだ。

 なんとなく消費し、気にしないですませてきたニュースの細々としたこと一つひとつに<なぜだろう>と、ツッコミを入れていく。

どうして女性選手が「ちゃん」付けなんだ?

「愛ちゃん」「麻央ちゃん」「藍ちゃん」

 大人のメディアが女性選手となると「ちゃん」付けにする。年齢は関係しない。「Qちゃん」「柔ちゃん」の例もある。

 考えてみたら、失礼な話である。ギョウカイのお仲間内じゃあるまいに、ニュースで「ちゃん」はおかしいよな。

 定着しつつある、この「ちゃん」付け。親しみを込めているのだと思い込んでいたが、無意識の底意があらわれているという。

 著者は注意深くスポーツ紙などをチェックする。なぜか、彼らは競技を離れて選手のプライベートを紹介することに積極的だ。女性選手とあれば、ぬいぐるみを大事にしているだとか、どんなケーキが好きだとか、「女性らしい一面」を印象付けたがる。

 独身か既婚か。出産でもすれば「ママさん選手」と一言添えるのを忘れない。さりげなく、夫や家族の協力を物語ってみせる。では、なぜ「パパさん選手」とは言わないのか?

 ここにもスポーツニュースの底意が隠されている。

 たとえば、女子マラソンの弘山晴美選手。必ずといっていいほど、沿道を走る夫の弘山勉コーチとの「二人三脚」がクローズアップされる。たしかに、美談である。ほほえましくもある。

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